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 皆で仲良く100歳食

食文化史研究家●永山久夫
JA広報通信より
 
2010年度 4月    タケノコは不老長寿食
5月    ラッキョウで食欲増進
6月    しっかり朝ご飯を取りましょう
7月    夏は酢の味の知恵
8月    豆腐でニコニコ骨丈夫
9月    秋ナスは嫁に食わすな
10月    ヒミコのみそ汁
11月   「ニンニク納豆」のすすめ
12月    海藻食で不老長寿
1月    チーズと笑い
2月    ギョーザの長生き成分
3月   新タマネギの健脳の働き
2011年度 4月 
 昭和の知恵おふくろの味
5月    ニンニクは食べる「薬」
6月    免疫力を強くするとろろ昆布
7月    すったてうどん
8月    戦国時代のみそおにぎりパワー
9月    ブドウの新しい長寿効果
10月    「腰弁」は焼きおにぎり
11月    福の神も喜ぶ煮干し
12月   サケと一升めし
1月    草餅の不老長寿パワー
2月    こんにゃくで砂払い
 


タケノコは不老長寿食

 花便りの季節になると、土の中でじっと春を待っていたタケノコたちが、あちこちから顔を出し始めます。  春の味覚の代表は何といってもタケノコ。ビタミンB2をはじめ、C、E、それにカリウム、カルシウム、亜鉛、食物繊維などがたっぷりの長寿食です。
 豊富な食物繊維は、腸の働きを活発にするだけでなく、余分な脂肪やコレステロール、発がんなどの有害物質を排除する作用もあります。
 またカリウムは、血圧の気になる方が積極的に取りたい成分。血圧上昇の大きな原因といわれる塩分を、排せつする働きが期待できます。塩分の取り過ぎは、がんの原因になりやすいことも分かっています。
 タケノコといえば、えぐ味が気になることも。えぐ味のもとはシュウ酸で、1日置いただけでも、2倍にも3倍にも増えてしまいます。買ってきたらすぐに、あく抜きをしましょう。穂先を5cmほど切り落とし、皮の上から縦に包丁目を入れ、米ぬかと赤トウガラシを2本ほど入れた熱湯で、1時間ほどゆでます。  タケノコ料理のおすすめは「若竹煮」。旬が同じタケノコとワカメの煮物は、味の相性が良いだけでなく、ビタミンCやカロテン、ビタミンEなどがたっぷり取れ、生活習慣病を防ぐ効果も期待されます。
 そして、タンパク質やカリウムなどのミネラル、ビタミン類を多く含む割にはカロリーが低いので、ダイエット食品として女性に人気があります。
 軟らかい先端に多いのが、アスパラギン酸やグルタミン酸、チロシンなどのうま味成分。どれも若々しさを維持するためのホルモンの材料であり、脳の老化防止にも役に立ちます。特にチロシンは、物忘れを防いで、老化の進行を遅くする成分として注目されています。 
 
  
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 ラッキョウで食欲増進

 蒸し暑くてあまり食欲のないときなどに頼りになるのがラッキョウ。心地よい辛味と、さわやかな歯応えで、唾液(だえき)などの消化液の分泌を盛んにし、食欲を増進してくれるのです。
 中国原産のユリ科の野菜で、地下に育つ白い卵形の鱗茎(りんけい)部分を食用にします。
 平安時代の辞書に「おおみら」とあり、これがラッキョウの古代名。日本には平安時代以前に渡来し、薬用や食用にされていたのは間違いありません。
 江戸時代の有名な『農業全書』に「らっきょうは火葱ともいう」とあり、みずみずしさの中にある辛さを「火」と表現したようです。
 さらに、「効能ある野菜で人を補い温め、学問する人が常にこれを食べれば神に通じる」と記してあり、上手に食べれば、神に通じるほど頭が良くなるといっています。
 ところで、暑さなどによって体が疲れやすいのは、エネルギー不足の場合もありますが、体にたまった老廃物がうまく代謝されていないせいでもあります。そのようなときには、ビタミンB1の多いもの(豚肉やウナギ、大豆、黒ごまなど)を取るとよいといわれています。
 そしてビタミンB1の吸収効率をさらにバックアップするのが、ラッキョウに含まれている硫化アリル。カレーライスにラッキョウが添えてあるのも、薬味というより、カレー中の豚肉に含まれている豊富なビタミンB1の吸収効率を高めるためと理解した方が現代的といってよいでしょう。
 ラッキョウは甘酢漬けのように漬物にするのが普通ですが、最近では生食も増えています。生みそをつけて、野生的に食べてみましょう。ただし食べ過ぎはよくありません。
 
  
 
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しっかり朝ご飯を取りましょう

 よく「腹が減っては戦はできぬ」といいますが、実は空腹になると、脳の働きが散漫になって、ぼんやりしてしまいます。
 脳のエネルギーとなるのはブドウ糖だけです。ブドウ糖は炭水化物が体内で分解されて作られます。
 炭水化物はご飯やパン、うどんなどに豊富に含まれていますが、理想的なのは米のご飯。粒で食べるため、粉食のパンやうどんに比べて消化に時間がかかり、血糖値もゆっくり上昇するため、ブドウ糖を安定して供給できるからです。脳はこのブドウ糖を1時間に5gほど使います。脳は眠っている間でも、起きているときと同じようにエネルギーを消費します。従って、朝方の脳はエネルギータンクが空っぽ状態になっているはずです。
 そこで「朝ご飯」なのです。学校や職場に出掛ける前の朝は、何をおいても、米のご飯をしっかり取る必要があるのです。  朝食抜きは、体に悪いとよくいわれますが、その前に頭が悪くなってしまうでしょう。現代は過酷な競争社会であり、情報化時代。頭の機能が良くなければ、生き残れない厳しさがあります。学生も同じ。頭脳力を鍛え、より多くの情報を脳という「コンピューター」に入力しておく必要があるのです。
 脳のパワーに限界はありません。無限の創造性を秘めています。仕事、ビジネス、芸術、グルメ、不老長寿…。みんな脳の力によって生み出されているのです。
 脳がパワフルに働くための重要な鍵が、脳の栄養管理にあることはいうまでもありません。
 脳は臓器の中では、一番の大食い器官。成人の脳の重さは体重の2%ほどしかないのに、消費するエネルギーは体全体の約20%も使っているのです。仕事に出掛ける前の朝ご飯は重要です。ビタミンB1とカルシウムの多いゴマを掛けると、朝食の効果はさらに高くなります。
 
  
 
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 夏は酢の味の知恵

 「春は苦味で、夏は酢の味、秋は辛味、冬は油を心して食うべし」  昔から伝えられてきた食による健康法で、昔の人は季節ごとに取るべき味の特徴を覚えることによって、暑さ、寒さに負けない健康管理をしてきました。
 春の山菜や木の芽の苦味には、消化を助ける成分やビタミンCが多く、夏の酢の物には夏ばてを防ぐ力があります。秋の辛味は食欲増進剤であり、冬に備えてエネルギーを蓄え、冬の油料理は寒さに打ち勝つための体力をつけます。
 特に重要なのは夏で、クーラーなどのない昔は、猛暑を乗り切るために大変苦労しました。暑いと寝不足になったり食欲が落ちたりして、スタミナまで低下し免疫力が弱って病気にかかりやすくなるからです。
 そこで、暑さに負けずに長生きするため、昔の人は「夏は酢の味」としました。夏の料理というと、キュウリ、ワカメ、貝類などの酢の物、にぎりずし、刺し身の酢みそあえ、酢をたっぷり使った野菜サラダなどがすぐに浮かんできます。実は刺し身の酢みそあえは、古代の人たちにとってもごちそうでした。『万葉集』に次の歌があります。
 醤酢に蒜(ひる)つき合(か)てて鯛(たい)願う 我にな見えそなぎのあつもの  意味は「醤(現代でいえばモロミ)に酢を混ぜ、突きつぶしたニンニクを入れて作ったたれ汁で、タイの刺し身を食べたいなぁと願っている私に、ナギ(ミズアオイのことで古代は野菜として食用)の熱汁のような暑苦しいものなど見せないでくれ」で、醤酢は現在の二杯酢に近いものです。
 酢の酸味は酢酸やクエン酸などの有機酸で、単に食欲を増すだけではなく、強い殺菌作用や血液のサラサラ効果もあります。酢の物を取った後、体が軽くなるのは血行が良くなり、体にたまりやすい乳酸などの疲労物質が解消されるためです。
 
 
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 豆腐でニコニコ骨丈夫


 長寿村の長生きおじいさん、おばあさんは、たいがい骨太で小柄でもがっちりしています。日焼けしたお顔はまるで福の神。いつもニコニコと笑みを浮かべています。季節の変わり目などもへっちゃら。まさに、人生ドラマの主役という感じ。
 食生活から見ると、カルシウムをたっぷりと取っているから、心にも健康にもゆとりがあるのです。もし、カルシウムが必要な分だけ供給されないと、脳の中の神経伝達がスムーズにいかなくなって、興奮したり、イライラしやすくなりますから、ニコニコどころか怒りっぽくなるでしょう。そうすると血圧も上昇しますからやがて動脈硬化となって、長生きは難しくなります。100歳などとてもとても無理。  ニコニコと長生き人生を楽しんでいる方は、ほとんどが豆腐好き。夏は冷ややっこで冬は湯豆腐、そして、一年中豆腐のみそ汁。まだまだ暑い日が続きます。ワッハッハとかニコニコしながら、カルシウムの豊富な豆腐料理はいかがでしょうか。
 カルシウムの1日の所要量は、大人で600mgほどですが、実際に取っているのは、平均して540mg前後ですから、かなり下回っています。
 「骨にカルシウムを!」は「奥様に愛情を!」と同じくらい、今や常識。骨粗しょう症から骨折、そして寝たきり、認知症という最悪のパターンを断つためには、カルシウムたっぷりの豆腐にご注目。  水切りした豆腐(木綿豆腐の方がカルシウムが多い)を皿にのせ、かつお節をたっぷり掛けたら、しょうゆの味つけで食べます。
 かつお節には脳の幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの原料となるトリプトファンというアミノ酸が多く含まれますので、豆腐のカルシウムと一緒になって、いつもニコニコが絶えない健康生活を送れるのではないでしょうか。
 
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 秋ナスは嫁に食わすな

  煮てもよし、焼いてまたよし、漬けてよし、生で食べてもこれまたよしよしなのがナス。油との相性も極めて良く、スポンジ状の果肉が油を吸収しても、それほどしつこさを感じずに食べることができます。ビタミンEの多い良質の植物油を取る上でも最適です。ナスは秋口になると、その味わいが格別に良くなります。
  秋ナスは嫁に食わすな  このことわざが生まれたのは江戸時代。いろいろな解釈がありますが、おいしい秋ナスを嫁に食われてはたまらない、という嫁いびり説よりも、逆に、嫁思い説の方が正しいと思います。というのも、江戸時代の『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』という食物の薬効などを解説した本の中に、「夏から秋にかけて、上下とも生ナスを好んで食べる」とあるのです。もちろん、煮物や漬物にもしますが「刺し身」でも好まれていたのです。
 さらに江戸時代初期に刊行された『料理物語』にも、ナスの食べ方として、「汁、さしみ、丸煮…」とあり、生食が好まれていたことが分かります。皮をむいて細切りにし、酢みそなどをつけて食べていたようです。実際、味が爽快(そうかい)で甘さがあり、意外なうまさがあります。しかし、生のナスは体を冷やす作用があります。うまいからといって食べ過ぎると消化不良の心配もあり、体が冷えて出産に悪い影響を及ぼす危険性もあります。
 つまり「秋ナス」のことわざは、大切な嫁さまの健康を気遣い、過食を戒めたものと考えるべきなのです。
 ナス特有の黒紫色の成分はアントシアニンで、老化を予防する抗酸化作用があります。また発がん物質の生成や動脈硬化を防ぐ上でも注目されているのです。ナスニンも含まれ、コレステロールを抑える働きをしています。従って、ナスは皮ごと料理するようにしましょう。
 
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 ヒミコのみそ汁

  ヒミコはヤマタイ国の女王。
 死亡したのは3世紀の中ごろで、80歳まで生存し活躍していたことが、有名な『魏志倭人伝』によって知られています。つまりヒミコは、女王として生涯現役だったのです。
 長生きしたのは、ヒミコばかりではありません。前出書に、ヤマタイ国人は長命で「100歳、あるいは80、90歳まで長生き」とあるのです。現在でも日本人は、世界トップクラスの長寿民族ですが、そのような傾向は古代からありました。
 今から2000年近くも前の古代人が、いったいどのようにして長生きしていたのでしょうか。
 いろいろな要素はあったと推測できますが、最大の要因は「食事法」。食べ方を調べてみると、実に「医食同源」的なのです。『魏志倭人伝』の後で、同じく中国で書かれた『後漢書倭伝』にも、古代日本人は長命とありますが、食事についても触れ、一年中「菜茹(さいじょ)」を食すとあるのです。「菜」は野菜、「茹」はゆでるとか煮る、食うという意味があります。つまり、古代の日本人は一年中野菜を煮て食べているという意味。
 古代人であろうと現代人であろうと、野菜を取らないと不老長生は難しい。ヒミコやヤマタイ国人が毎日のように食べていた「菜茹」は、いってみれば「野菜スープ」。老化を防ぐ抗酸化成分やビタミン類、薬効成分や食物繊維をふんだんに取れる「不老スープ」だったのです。
 用いられた野菜類には、サトイモや山芋、ミツバ、カブ(葉も)、ダイコン、ゴボウ、セリ、ミョウガ、ネギ、アサツキ、フキ、レンコンなどがあり、海藻や魚介、イノシシの肉なども入る場合があったでしょう。味つけは塩が中心ですが、さっぱりしていて健康作用は極めて高かったと思われます。
 この「菜茹」こそ、実は現在のみそ汁であり、大豆アミノ酸たっぷりのみそで味をつけた、世界一の「野菜スープ」なのです。

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 「ニンニク納豆」のすすめ

 最近のお年寄りは、元気な方が多い。ウオーキングやジョギングで足腰を鍛えたり、しっかりとニンニクや納豆などを食べて、健康管理をしている方も少なくありません。
 しかし、どんなにトレーニングしても体力には限界があります。いずれ老化し、脳や身体機能は自然に衰えていきます。
 用心に越したことはありません。「火の用心」でありませんが、「健康用心」「老化用心」なのです。だから昔から「転ぶな、怒るな、風邪引くな」といわれてきたのです。
 ところが、とっても元気なご老人がいて、それだけでは駄目だと言われ、次のような「実戦的長寿法」を教えられてしまったのです。
 「豆食べろ、ニンニク、魚、お茶を飲め。そして最後にワッハッハ」。青森県で出会った、97歳のよく笑うお年寄り。特にニンニクが大好きと言い、またもや「ワッハッハ」と笑ったのです。青森といえば、日本でも有数のニンニクの産地。
 大豆製品でおすすめなのが納豆。薬味はもちろんすりおろしたニンニクを、ほんのちょっぴり混ぜるだけでよいそうです。しょうゆで味をつけ、ご飯にたっぷり掛けて食べると確かにうまい。体がじわーっと温かくなって、元気が出るのです。
 今から10年ほど前のことで、このニンニク薬味の納豆を多少アレンジさせてもらい「アリシン納豆」と名づけて常用しています。アリシンはニンニクの成分です。私は刻んだネギと卵の黄身も加えます。
 ニンニクを切ったり、すりおろしたりすると発生するのが臭気の成分のアリシン。アリシンには強い抗菌作用や免疫力の強化作用などがあり、最も注目されています。
 アリシンはビタミンB1と結合してアリチアミンという物質になり、疲れを除いたり、スタミナを強くするなどの効果を発揮。ビタミンB1は卵の黄身にもたっぷり。

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 海藻食で不老長寿






 日本人ほどユニークな食文化を形成してきた民族も少ないでしょう。ほかの民族が、あまり口にしないようなものまで、日常的に食べる傾向があります。
 その一つが海藻食の文化。ワカメやノリなどは、普段食化していますが、お正月や祭り事、おめでたい行事のある日などになると、必ず登場する海藻もあります。コンブやホンダワラ、そして磯の岩から採取した青ノリなど。
 面白いのがホンダワラ。「穂俵」とも表現するように、小さな袋状をした球のような気泡がいっぱいついていて、まるで稲穂のように見えます。
 稲作農耕民族にとってホンダワラは非常におめでたい海藻で、別の呼び名が「神馬藻」。お正月神の歳徳(としとく)さまが乗ってくる神馬にお供えするのがホンダワラであるところから、神馬藻となったようです。
 ホンダワラは今でもしめ飾りやお供えの飾りに用いる土地がたくさんあります。『万葉集』に出てくる「玉藻」は美しい海藻と解釈されていますが、玉のような気泡を持ったホンダワラという説もあります。東北地方では、昔は「玉柳」と呼んで食用にしていたそうです。ホンダワラ科の中に「アカモク」と呼ばれる海藻があり、現在でもあえ物やみそ汁などで食用にされています。
 何といっても人気なのはコンブ。「ひろめ」とも呼ばれ、結婚などの「お披露目」の語源ともいわれるほどおめでたい海藻。古代中国の王様が不老長寿の食べ物として、熱心に求めようとしたのもコンブと伝えられ、使者として日本にやって来たといわれる徐福(じょふく)の伝説が日本各地にあります。
 コンブのヌルヌルした成分のフコイダンに注目が集まっています。解毒作用や抗酸化力、がん細胞をやっつけたり、インフルエンザや風邪などにかかりにくくする免疫力を高めてくれます。日本人が世界一長生きできるのも、食の選択がうまいからにほかなりません。
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 チーズと笑い

 長生き村のおじいさん、おばあさんはみんな元気。骨太で小柄でがっちりしています。健康そうに日焼けした顔に福々しい笑みを浮かべ、いつもニコニコ。年輪の刻まれたお顔は、まるで『福の神』です。
 人と会うと、まずニコニコから始まります。愛嬌(あいきょう)があって、みんなに慕われています。まさに「笑う門には福来る」。笑いに満ちている人の家には、自然に福運や長寿がやって来ます。長生きのおじいさん、おばあさんにお会いすると、笑いの輪が周りに広がっていきます。とっても素晴らしい『笑いの神様』のような感じさえするのです。笑うと体がリラックスして、気分が明るくなって希望が出てきます。
 『笑いの神様』の食生活を見ると自然にカルシウムの多いものを取っています。カルシウムは、骨を丈夫にする目的もありますが、脳の健康を守る上でも欠かせません。
 カルシウムは「食べるトランキライザー(精神安定剤)」ともいわれるように、平常心を保つために重要な役目を果たしているのです。心にゆとりと幸福感を与え、いつの間にかニコニコ笑いにしてしまうのもカルシウムの効能です。
 カルシウムが必要な分だけ供給されないと、脳の中の神経伝達がスムーズにいかなくなり、異常に興奮したりいらいらしやすくなり、怒りっぽくなるでしょう。血圧も上昇しますから、長生きすることは難しくなるかもしれません。
 カルシウムの多い食材にチーズがあります。チーズの素晴らしさはアミノ酸バランスの良いタンパク質が豊富な点。タンパク質とカルシウムが結合した状態で食べると、カルシウムの吸収率が良くなるのです。すると、心にゆとりと幸福感がいっぱいになって、いつの間にかニコニコ笑いになってしまうでしょう。


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 ギョーザの長生き成分

 日本人はギョーザが大好きです。
 宇都宮をはじめ、各地にご当地ギョーザが次々と誕生し、今ではすっかり土地の食文化として定着。
 水で練った小麦粉を丸く延ばして皮を作り、野菜たっぷりの中身を入れて包み、ヘリをヒダヒダにしながらとじます。
 中身は豚のひき肉とニラを中心とした野菜を混ぜたもので、ごま油などで焼けば焼きギョーザ、蒸せば蒸しギョーザとなります。しかも、食べるときには「酢じょうゆ」をつけるのです。酢の主成分の酢酸には血液のサラサラ作用やカルシウムの吸収促進、血圧の安定作用があります。
 皮の主成分は炭水化物で体の中で分解されてブドウ糖となり、脳の働きを高めるエネルギー源となるのです。ブドウ糖が完全に燃焼するためにはビタミンB1が欠かせませんが、豚のひき肉にはたっぷり。そのビタミンB1の働きをバックアップするのが、硫化アリルというツーンとくる成分です。こちらはニラやニンニクに豊富に含まれています。
 ニラの緑色の濃い葉の部分にはカロテンやビタミンC、ビタミンE、葉酸などがたくさん。それだけではありません。冬から春先にかけて流行する風邪から喉や気管をガードするビタミンAまで含まれているのです。ニラはニンニクの強精作用とホウレンソウのビタミン類を兼ね備えたあっぱれなベジタブルといってよいでしょう。
 キャベツも見上げた実力派の野菜。キャベツにはビタミンCが多く、大きめの葉を1枚食べれば1日の必要量のほぼ80%を取ることができるそうです。胃潰瘍などの予防作用でよく知られたビタミンUも含まれています。
 ギョーザを若者ばかりに独占させておくのはもったいない。実は、長生き成分の宝庫といってもよいほど老化防止の予防作用があるのです。



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 新タマネギの健脳の働き

 新タマネギがうまい。
 生で食べても甘味が強く、みずみずしくてとってもおいしい。ツーンとくる成分の硫化アリルが、収穫してすぐに出荷された新タマネギに特に多く含まれているのです。
 硫化アリルには多彩な働きがありますが、中でも重要なのはビタミンB1の吸収を高めて、体力アップや疲労回復に有効な点。  でんぷん質、つまり糖質の代謝を促すビタミンB1は、脳の働きを正常に維持し、イライラを防いで精神を安定させる作用もあります。不足すると、記憶力が減退したり、不眠を招くこともあるそうです。
 さらに、コレステロールを下げたり、血管内の血栓を防ぐ効果があるといわれ、コンスタントに取ることによって血流をスムーズにして、内臓脂肪の燃焼も促進されるといわれているのです。  硫化アリルは長く水にさらしたり加熱したりすると、その効果が薄れてしまうという弱点があります。
 煮たり炒めたりすると、硫化アリルは甘味に変化して、料理の味を引き立てるプラス作用もあり、上手に使い分けるとよいでしょう。
 タマネギには優れた抗酸化作用のあるケルセチンも多く、オランダで行われた健康調査によると、この成分の摂取量が多いほど、心臓病にかかる率や死亡率が低くなることが明らかにされているそうです。
 原産地は中央アジアで、日本に入ってきたのは江戸時代。北海道で本格的な栽培が始まるのは、肉を用いた西洋料理の普及する明治になってからです。
 物忘れを防ぎ学習能力を高める食べ方。新タマネギをスライスして、マヨネーズを掛けてよく混ぜ、しょうゆをちょっと掛けてからかつお節をたっぷりまぶします。
 味がマイルドになり、こくのある食べ方になります。かつお節にはアミノ酸とビタミンB1がたっぷり。マヨネーズには脳内の記憶物質の原料となるレシチンが豊富に含まれています。春の健脳おかずです。


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昭和の知恵おふくろの味

 日本人の高齢化が進んでいます。  
 一方で少子化も進行していて、若い世代が少なくなり、老人だけが増えていく。日本は、人類史上例のない超老人国になろうとしているのです。食に対する社会的なニーズも、当然変わるでしょう。  
 若者にアピールするような脂っこい料理は敬遠され、素材本来の味を生かした料理が要求されるようになるはずです。
 一言でいえば「おふくろの味」の見直し。おふくろの味といっただけで、ふるさとを思い出しませんか。  そうなんです。「おふくろの味」は家族のぬくもりや幼なじみ、風景といった思い出まで、味わいになっているのです。  
 そこへいくと、コマーシャルなどで情報と共に大量生産される安価で便利な食べ物には、思い出につながるような物語はありません。  
 「おふくろの味」といったら、サトイモの煮っ転がしや肉じゃが、ダイコンやこんにゃくの煮つけ、きんぴら、油揚げや高野豆腐の煮物、山菜の天ぷら、煮魚などを連想すると思います。
 夕食の代表的なお総菜であり、お母さんの味、つまり「おふくろの味」です。同時に素晴らしい健康料理であり、健脳食、長寿食である点にも注目しましょう。だしをしっかり活用して作っていますから、美味ですし、飽きません。  
 年を取れば取るほど、食べたくなる懐かしい昭和の味、それが「おふくろの味」なのです。  
 平成となって23年。昭和に比べて食生活の中身は油脂の摂取量が急増するなど、悪化しているのは間違いありません。季節感が失われ、家庭で料理を作らず、出来合いで間に合わせてしまう。古くから食べ続けられてきた、その土地の伝統食には理由があるはずです。「おふくろの味」には「地産地消の知」がぎっしりと詰まっています。

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 ニンニクは食べる「薬」

 アメリカで「ナチュラル・メディシン」という言葉がちょっとした流行になっているそうです。  「自然の薬」という意味で、薬草や薬効性の強い野菜や果物などを指しているようです。
 日本にも古くから「薬狩り」という習慣がありました。『古事記』や『万葉集』にも登場する大切な行事で、春から初夏にかけて行われました。  この行事はシカ狩りのことで、当時はシカの角や肉が薬用だったのです。  
 シカ狩りが「薬狩り」と呼ばれたのは、シカを狩ると同時に、薬草も採取したためです。後になって、薬草取りが行事の中心となり、土地によっては「当薬(とうやく)取り」とも呼ばれました。トウヤクはセンブリのことで、古くからゲンノショウコなどと共に胃の薬として用いられ、今でも健胃剤の原料としてよく知られています。  
 日本には野山の薬草ばかりではなく、畑にも薬のような働きをする野菜がたくさんあり、昔から実力派のナンバーワンとして珍重されてきたのがニンニク。まさに日本の「ナチュラル・メディシン」です。  
 料理にちょこっと用いるだけで、仕上がりの味がふくよかになり、いっそうおいしくなります。
 ニンニクを使った料理はすこぶる美味なために、夢中で食べると強い臭いが口の中に残り、嫌がられたりします。それが分かっていながらニンニクたっぷりのギョーザは大人気、カツオの刺し身はニンニクしょうゆが一番。  
 食べた本人は平気なのに迷惑がられるあの臭い。ところが、フランス人は「食欲をそそるとってもいい香り」とか「バニラの香り」と言ったりするそうです。  辛さと強烈な臭いのもとはアリシンという成分で、ニンニクの効き目の主役にもなっています。その効き目というのは体が温まる、肌が若々しくなる、心臓が丈夫になる、冷え症に効く、不老長寿に役立つなど実に多彩。まさに食べる「薬」といってもよいでしょう。

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 免疫力を強くするとろろ昆布

 日本人の死亡原因のトップはがんで、もう30年も続いています。今では2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなっています。  
 医学の進歩をもっても防げないのはなぜなのでしょう。日本人の高齢化、脂肪の取り過ぎ、偏食、喫煙などいろいろな原因が指摘されていますが、中でも大きな背景は日本のストレス社会。  
 激しい競争社会にもまれてくたくたに疲れた揚げ句、「免疫力」が低下しているのです。病気から健康を守るために、私たちの体に備わっている自己防衛のシステムが免疫力ですが、ストレスで弱くなっていると指摘されています。  
 ストレスにまみれて働き続けると自律神経がおかしくなり、交感神経の働きで、心臓の拍動が高まり、血管も収縮させてしまいます。自律神経には緊張したときに働く交感神経の他に、副交感神経があり、両者がバランス良く働くことによって健康が保たれています。  
 副交感神経はほっとしたり、笑ったり、楽しい食事の時間を過ごしているときなどに働きます。心臓はゆったりして、血行も良くなっているはず。副交感神経が優位になると、白血球の働きも活発になり、免疫力も強くなってがんになる確率も低くなるわけです。  
 そこで、お薦めしたいのがとろろ昆布のお吸い物。  
 作り方は極めて簡単。とろろ昆布をひとつまみおわんに取り、たっぷりのかつお節とネギを散らし、ほんの少々生みそを載せて熱湯を注ぐだけ。即席汁ですが、みそと昆布、かつお節の味がおわんの中いっぱいに広がり、とってもうまいのです。  
 とろろ昆布はリラックス効果の高いカルシウムとビタミンB1の宝庫。さらにかつお節と生みそには、幸せホルモンと呼ばれる脳内のセロトニンの原料となる必須アミノ酸のトリプトファンが含まれていますから、いつもニコニコする上では理想的です。

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 すったてうどん

 昔は熱い汁で食べるうどんを「熱麦(あつむぎ)」、冷やして食べるのは「冷や麦(ひやむぎ)」と呼びました。
 冷や麦は夏場の麺料理で、ゆでてから冷水でさらし、そばつゆよりもやや辛めにした漬け汁で、ひんやりと食べたものです。
 「麦」は小麦粉で作った麺を指しています。冷やしうどんの場合、漬け汁ばかりではなく、ぶっ掛けスタイルもあります。夏の郷土食として各地にあり、いろいろな材料が用いられていますが、共通しているのは、みそとごまが使用されている点。
 例えば埼玉県の中ほどにある川島町の場合は「すったて」と呼ばれています。冷や汁の一種でごまとみそをすり合わせ、そのすりたてを食べるところから「すったて」と呼ばれるようになったそうです。  香ばしくいったごまをすり鉢ですり、みそ、それに砂糖少々、タマネギなどを加えてさらにすり、輪切りにしたキュウリを入れ、だし汁でのばします。そこへ薬味として、青シソやミョウガなどを散らして完成。作り方は、家庭によって多少の違いがあります。  これを冷やしうどんにたっぷり掛けて食べます。ごまとみそは相性が良く、実にこくがあってうまい!
 その力強い味ともろもろの薬味がうどんにしっかりと絡み付き、いくらでもおなかの中に収まってしまうのです。
 「すったて」はご飯にもよく合い、タイやマグロなどのお茶漬けに負けないほどの濃厚な風味の汁掛けご飯になります。
 うどんの主成分は、体を動かすときのエネルギー源となる炭水化物。そのために欠かせないのがビタミンB1で、これがごまにたっぷり。夏バテを防ぐ上でうどんとごまの組み合わせは理想的なのです。黒ごまの黒い色素成分は、夏の強い紫外線から体を守る抗酸化成分。みそはアミノ酸や酵素の固まりで、シソやタマネギなどにも体の老化を防ぐ成分が含まれています。

 
 
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 戦国時代の みそおにぎりパワー

 戦国武士たちのスタミナの持続力には驚きます。例えば、豊臣秀吉が賤ケ岳(しずがたけ)の合戦で、柴田勝家と戦ったときには、秀吉軍は50kmの道のりをわずか5時間で走り抜けているのです。あまりの速さに柴田の軍勢はびっくりして、敗退しました。戦国時代のこのような短時間走行は珍しくありません。
 なぜ、このように速く、しかも長時間走れるのでしょうか。その一つがみそおにぎり。道々に大釜を据えてご飯を炊き、おにぎりを作り、みそを塗って走行中の武士に手渡すのです。武士も足軽も、やりや鉄砲を担ぎ、走りながら頬張るのです。つまり、おにぎりの炊き出しです。
 炊きたてご飯とみその相性は抜群。みそに含まれる豊富な消化酵素が、ご飯の主成分の炭水化物の消化を助け、食べるそばからエネルギーとなり、疲れないのです。みそは、大豆のタンパク質が発酵してアミノ酸化しているので、アミノ酸ドリンクを取りながら走っているようなもの。しかも、戦国時代のおにぎりは五分づき程度の米を炊いて作られており、ぬかの部分に含まれるビタミンB1も豊富。B1は頭の回転を良くして物忘れを防ぎ、疲労回復に役立ちます。
 当時は、五分づきぐらいの米を水に2、3時間浸しておいてからのかまど炊き。水に漬けておく間に、胚などに含まれるアミノ酸の一種グルタミン酸がギャバ(ガンマ-アミノ酪酸)に変化。ギャバはイライラを予防して血圧を安定させるなどの働きがあり、現在注目されています。
 みず穂の国に新米の季節がやって来ました。スポーツの秋です。みそおにぎりをしっかり食べて、足腰を鍛えるために走りましょう。
 みそおにぎりを軽く焼いてお茶わんに取り、熱々のお茶をたっぷり掛け、わさびを添えて食べると、日本に生まれてよかったなァ、と両手を合わせたくなるおいしさ!

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ブドウの新しい長寿効果

 野山の厳しい自然の中で生存している野生の動物は旬のものしか食べないのが普通。量もたくさんあるし、味も良いからです。畑作物であれ、野山のものであれ、旬のものには生きる力を強くする成分が豊富に含まれています。免疫力や自然治癒力といった病気を予防するパワーも、旬のものにはたっぷり。
 スーパーにも、果物屋さんの店頭にも、旬のフルーツが彩りもにぎやかに並んでいます。秋は果物の季節。その中の一つがブドウです。
 黒いブドウに赤いブドウなど、はち切れそうな丸々としたブドウ。ブドウといえば、甲州(山梨県)が有名ですが、江戸時代の初期にブドウの品種改良に尽力したのが、旅の医師である長田徳本(ながたとくほん)という伝説があります。
 いつも牛に乗り、薬袋を首に掛け「一服十八文」と声を上げながら諸国を巡り、病気で苦しむ人たちを救った人物として有名。本草学(薬草を用いる医術)の専門家ですから、ブドウ栽培法の知識があったとしても不思議ではありません。品種改良は成功し、甘いブドウになったと伝えられています。晩年は現在の長野県岡谷市で悠々と暮らし、118歳まで長生きしたことで有名です。
 ブドウに含まれているレスベラトロールという渋味のもとになっている成分が、世界的に注目されています。赤ワインなどに豊富に含まれているポリフェノール(抗酸化成分)の一種で、強い抗酸化作用があり、長寿遺伝子をオンにする作用で脚光を浴びているのです。
 最近、あるテレビ局が放送し、大変話題になったばかり。医師の徳本は、ブドウを頻繁に口にすることによって、自分の長寿遺伝子をオンにしていたのかもしれませんね。
 そんなことを話題にしながらブドウを味わったらいかがでしょうか。ブドウの力を生かすには、皮ごと食べるのがよいでしょう。疲労回復にも効果的です。
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「腰弁」は焼きおにぎり

  「腰弁」という言葉があります。  最近ではあまり使用されなくなりましたが、「腰弁当」の略。転じて毎日弁当を持って会社に行くサラリーマンのこと。
 江戸時代、勤番の下侍のはかまの腰に弁当の包みがぶら下げられていました。これが腰弁当ですが、そのルーツは戦国時代の「腰兵糧」。
 出陣と決まると、兵士たちは腰に兵糧の入った細長い袋を巻き付けて、戦場に向かいました。袋は筒状になっていて、その中におにぎりや干し飯、干しみそ、かつお節などをぎっしりと詰めておくのです。これを腰兵糧と呼びました。
 戦場に着陣すれば、飯は支給されますが、それまでは自前なのです。戦国時代の「腰兵糧」が江戸時代になって「腰弁当」となり、現代になって「腰弁」になりました。
 会社は昔の藩みたいなもの。サラリーマンは、いってみれば藩士であり侍なのです。戦国時代は手柄を立てれば評価されて、禄高(ろくだか)が加増されました。支給される「米」の量が増えるのです。だから、奥さんや子どもたちは大喜び。
 現在でもまったく同じで、会社への貢献が大きければサラリーも増えるでしょうし、臨時のボーナスもどっさりと出るかもしれません。
 最近は、おかずがたくさん添えられた弁当を持参する「サムライ」が増えているようです。戦国時代、腰兵糧で喜ばれたのが戦いの暇を見つけては、手軽に食べることのできる焼きおにぎり。特に、みそを付けて両面をこんがりと香ばしく焼いたみそおにぎりが人気。
 みそには消化酵素や疲労回復に役に立つアミノ酸がたっぷり含まれています。武器を振り回しながら敵と切り合うため筋肉力を高める働きをするのが、米の主成分である炭水化物。炭水化物が吸収されてブドウ糖になり、勝ち進むためのエネルギー源になるのです。信長、秀吉、家康たちもみそおにぎりをかじりながら戦いました。
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福の神も喜ぶ煮干し

  来年こそ、大好運に出合いたいものです。好運を運んでくるのが「福の神」で、不幸や不運を連れてくるのは「貧乏神」と、昔から決まっています。
 福の神に来てもらうためにはどうすればよいかというと、いつも「ニコニコ」したり「ワッハッハッ」をすればよいのです。
 「笑う門には福来る」。反対に無精ひげを生やし、無気力で生気のない顔をしていたら、たちまち貧乏神に取り付かれ苦労するでしょう。
 そこでお薦めしたい、好運の食べ物が「煮干し」。  「田作り」とか「ごまめ」とも呼ばれ、田植えどきの祝い魚が昔から甘く煮しめた「ごまめ」でした。漢字で書くと「五万米」で、秋の豊作を意味します。
 一般的にはカタクチイワシの幼魚を用い、新鮮なうちに塩水で煮た後、天日または機械で乾燥させて作ります。
 太陽の光と熱での自然干しが一番味も良く、健康効果も高いのはいうまでもありません。地方によってはアジやイカナゴなどの幼魚でも作られます。
 最近、カタクチイワシの煮干しが栄養面で見直され、スナック的なおやつに「食べる煮干し」として人気を呼んでいます。
 パリパリと食べやすい上に、カルシウムの宝庫で、煮干し100g中に2200mgも含まれているのです。カルシウムは「笑いの種」ともいうべき機能を持っていて、食べるトランキライザー(精神安定剤)とも呼ばれています。日本人に慢性的に不足しているミネラルの一つですから、しっかり取って足腰を支える骨格を丈夫にしたいものです。
 記憶力や学習能力を強くする作用で注目されているビタミンB12が多い点でも期待されます。ビタミンB1や葉酸もたっぷり。骨を強くするビタミンD、若返りのビタミンEも含まれている煮干しは、福の神も喜ぶ長寿食でもあるのです。
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サケと一升めし


 ひと昔前の村の若者は、一升飯(1.5kg)を平らげて、初めて一人前と認められました。村の娘たちも頼もしく思い、胸をときめかせたものです。
 一升飯をぺろりと食べて、米俵を担ぎ、小学校の校庭を1周できれば村のスターであり、何人もの若い女性からラブレターが届きました。
 だから、普段も米の飯を山ほど食べて、農作業の力仕事を軽々とこなしました。そのころ人気のあったのが「シャケ弁」。大きなアルミニウムの弁当箱にご飯をぎしぎしと詰め、おかずはサケの塩引き。
 「うまかったなァ。もう一度稲刈りの済んだ田んぼの土手で、シャケ弁食べたいよーッ」
 昔の農作業は人力が中心で、動力といっても牛や馬だけ。だからたくさん食べないと、力が出なかったのです。サケは弁当のおかずの横綱でしたが、同時にお正月などの祝い魚としても欠かせませんでした。  特に関東や東北ではおめでたい魚でした。サケの身は赤い。赤い色は、稲を育て、ダイコンなどを太らせてくれる太陽の色だったのです。体は若いままで長生きしたい。女性だったら、美しいままで年を取り、長生きしたい。その長寿願望をかなえてくれるのが、毎年、海から川を上って村までやって来るサケでした。
 肉質が美しい紅色なので、赤身という印象ですが、実はサケは白身の魚。川を上る力を付けるため、海の中で好物の餌であるエビなどをたくさん食べるために、色素がたまり赤く見えるようになります。
 赤い色素はアスタキサンチンと呼ばれるカロテンの仲間。この成分はカロテンやビタミンEなどをはるかに上回る抗酸化力、つまり老化を防ぐパワーを持っており、心臓や脳の血管の動脈硬化を予防する貴重な働きで脚光を浴びているのです。
 サケには記憶力の低下を防ぐ成分も豊富に含まれています。
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餅の不老長寿パワー


 日本人はお餅が大好き。  お正月ばかりではなく、お祭りや祝い事があると、みんなニコニコしながらお餅をついてきました。
 あの「ぺったんこ、ぺったんこ」という音がなんとも威勢が良くて心が躍ったものです。
 「ぺったんこ」の音を盛大に立てることによって、お祭りの主役である神様をお呼びするのです。お餅をつく音は、神様をお迎えする準備は整いましたよ、という合図の音。
 神様はお餅が好物ですから、空を飛んでやって来て、福や豊作がどっさりと授かります。
 今はお祝い事のお餅は、ほとんどが買ってきたりしますから、神様が喜んでくださるかどうか。
 お餅には不思議な力がこもっています。その一つが「力餅」の風習。力仕事をする前に、お餅を食べておくと、思わぬパワーが出るというもの。確かにお餅は神様の宿る米粒をついたものですから、神様パワーが米のカロリーと一緒に濃縮されています。想像もつかない力が出ても不思議ではないのかもしれません。
 力餅は、出産直後の母親にも与えられました。赤ちゃんを産むと、おなかの中が空っぽになりますから「力餅」を食べてもらって、おなかに力を呼び戻そうという信仰です。
 峠には「峠餅」があって、山越えする旅人に力を付けました。峠の力餅は、今でも各地の街道筋に郷土名物として残っています。
 白いお餅は神様にお供えして、家族の者は「草餅」を食べたものです。草餅はヨモギ(餅に入れるために餅草ともいう)をつき込んだ緑色の美しいお餅ですが、実は大変立派な不老長寿食。
 ビタミン類の豊富な、サプリメントのような野草。ビタミンCやE、カロテンなどが多く、これらには抗酸化作用や免疫力の強化作用があり、確かに長生きや若返りに役立ちます。ヨモギの薬効は多彩でがん予防にも効果的といわれています。
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 こんにゃくで砂払い

 こんにゃくを食べる習慣が普及するのは江戸時代。特に、あのプルン、プルルンとしたつかまえるのも難しいこんにゃくを好んだのが江戸っ子。
よく「おなかの砂払い」とか「おなかのすす払い」といって定期的に食べました。ここの砂とかすすというのは「体の中にためておいてはいけないもの」で、つまりは不純物。  現代的にいうと、コレステロールや中性脂肪、発がん性のある有害物質などのことですから、一刻も早く排除した方がいいのはいうまでもありません。
こんにゃくの95%以上が水分、残りは水溶性グルコマンナンという食物繊維。この食物繊維が腸内で水分を吸収して膨らみ、腸に刺激を与えることで、有害物が早く排出されるわけです。こんにゃくには、コレステロールや血圧の値を下げる作用もあり、体にとってはいいことばかりの食べ物といってよいでしょう。
不思議なことに、現代女性からダイエット食の一つとして好まれているこんにゃくが江戸時代の若い娘たちの間でも人気だったことがよく知られています。
 「芝居、こんにゃく、イモ、カボチャ」。これが江戸の町娘たちの好物でした。今でいったらアイドルのコンサートに近い芝居と並んでこんにゃくの名前が挙げられています。
 そのころの最もポピュラーなこんにゃくの食べ方は田楽。串に刺したこんにゃくを鍋で煮ながら売り歩く屋台もあり、スナックとして人気を集めたのです。味付けはみそで、なかなかうまかったようで、この移動式の屋台がおでん屋のルーツとなります。
 かの俳聖の松尾芭蕉もこんにゃくが大好きでした。 蒟蒻(こんにゃく)の刺身もすこし梅の花
 梅の花見に行った折の弁当なのでしょうか。このこんにゃく料理の味付けは酢みそで、これも当時流行した食べ方でした。

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