ベランダでできるキッチンガーデン

ピーマン(ナス科トウガラシ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 緑のピーマンは熟してくるとトウガラシのように赤くなります。赤いピーマンは青臭さが消え、甘くなり、栄養価も増します。
 しかしなぜ、農家は赤いピーマンを出荷しないのでしょうか。それは熟すのに日数がかかり、青果は日持ちしないからです。緑のピーマンは開花後15~20日で収穫できますが、ピーマンが熟して赤くなるには60日くらいかかり、株への負担も大きくなります。パプリカ(大型ピーマン)のように肉厚ではないので、熟すとしなびやすくなります。
 経済性よりも育てる楽しみを優先するキッチンガーデンでは、数個のピーマンを赤くしてサラダなどの彩りにしてもよいでしょう。子どもにも食べやすく、親子の会話も弾みます。畑でなくても、日当たりの良いベランダなら栽培できます。
 熱帯アメリカ原産のピーマンはナス科でも最も高温性で、発芽適温も生育適温も25~30度です。キッチンガーデンでは発芽と育苗の高温を確保するのは難しいので、5月に苗を購入するのが一般的です。
 10号(30cm)以上の鉢に市販の培養土を入れます。深植えにならないように苗を植え、倒れないように仮支柱を立てて軽くひもで縛っておきます。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 活着(根付くこと)すると1番花が咲き始め、側枝が伸びてきます。主枝と1番花のすぐ下から出てくる側枝2本を残し、他はかき取ります。仮支柱を50~60cmの支柱に換え、各枝を誘引します。果実が次々となるので、肥料切れにならないようにします。乾燥に弱いので、株元にわらやピートモスなどを敷いて、水やりを毎日します。
 収穫ははさみで切り取ります。開花後20日を過ぎても外観は変化がないので、取り遅れないように注意します。ピーマンの和名は甘唐辛子で、トウガラシやシシトウも仲間。栽培方法も同じですが、肉詰めやみそ炒めに適しているのはピーマンです。


バジル(シソ科メボウキ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 ハーブという言葉が日本で多く使われるようになったのは、世界各国のレストランが大阪万博(1970年)に出店した頃からです。代表的ハーブのバジルもその頃から普及するようになりました。最もポピュラーなのは光沢のある葉のスイートバジルです。属名や和名のメボウキ(目箒)は、種を目に入れると寒天のような物質が出て目のごみを取り去るからだといわれています。
 「イタ飯ブーム」(1990年ころ)の際、葉の緑色がイタリア国旗を象徴していると話題になりました。白色はチーズ、赤色はトマトのマルゲリータピザやカプレーゼサラダなどです。
 熱帯アジア原産の多年草のバジルは、日本では越冬できないので一年草として扱われます。発芽適温も生育適温も20~25度ですから、種まきは遅霜の心配がない4月中旬以降です。畑がなくても、日当たりの良いベランダで栽培できます。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、20cm間隔で種を4~5粒ずつ点まきをします。好光性種子なので覆土はごく薄くし、十分水やりします。本葉2枚の頃に健全な苗を残して1本立てします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。
 本葉10枚ぐらいになったら、摘芯して脇芽を伸ばします。摘芯することによって、葉が多く出るようになります。
 短日植物なので、7月中旬からシソに似た白い花を付けます。花が咲くと株が老化しやすいので、花穂は早めに摘み取ります。
 順次葉を摘み取り収穫します。多めに収穫したときは乾燥や冷凍、ペーストにして保存し、香りを一年中楽しみます。
 イタリア語ではバジリコ。ゆでたてのスパゲティに生のバジルの葉を刻んであえればバジリコスパゲティになります。さらにトマトを加えれば緑・白・赤のイタリアンカラーになります。


エダマメ(マメ科ダイズ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 エダマメといえばビール。ビールといえばドイツ。ドイツといえばクラインガルテン(市民農園)。ドイツのクラインガルテンには、ビールメーカーがスポンサーになっているところもあるとか。
 日本でも市民農園が増えています。1990年には市民農園整備促進法が成立しました。その第1条には「この法律は、主として都市の住民のレクリエーション等の用に供するための市民農園の整備を適正かつ円滑に推進するための措置を講ずることにより、健康的でゆとりのある国民生活の確保を図るとともに、良好な都市環境の形成と農村地域の振興に資することを目的とする」と、素晴らしいことが書いてあります。
 ベランダでエダマメを栽培してみましょう。取れたてを食べると、市民農園を借りたくなります。
 エダマメは低温だと発芽しないので、4月下旬から5月上旬に種まきします。深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、株間20cmに3~4粒の点まきをします。覆土は種の大きさの3倍が標準です。
 発芽後、順次間引きして本葉2枚までに2本立てにします。乾燥と過湿に弱いので、水やりは朝やって夕に土の表面が乾く程度にします。
 エダマメは根に根粒菌が付いて空気中の窒素を固定し供給するので、肥料は少なくて済みます。追肥は生育状態を見ながら、1000倍の液肥を施します。窒素肥料が多過ぎるとつるぼけ(葉ばかりさま)になって、さや付きが悪くなります。
 本葉4~5枚になったら、倒伏防止のために軽く土寄せし、増し土をします。株元にわらや腐葉土を敷いて、表土の乾燥を防ぎます。本葉5~6枚のときに摘芯すると、脇芽がよく伸びて、さやが多く付きます。
 株の中央部のさやが膨らんできたら、株ごと引き抜いて収穫します。さやが黄色くなってからでは豆が堅くなるので、さやが鮮緑色のうちに収穫します。


コールラビ(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 フランスでは家庭菜園のことをポタジェといいます。野菜だけでなく果樹や草花も混植し、食用と観賞を兼ねています。ポタジェの語源はポタージュで、中世の修道院でその原料の野菜を院内の庭で作っていたからだといわれています。
 感性豊かな女性の参入が多くなったためか、日本でも菜園をラティスやレンガなどで飾り、カラフルな野菜を栽培するオーナメンタル・キッチンガーデンが増えています。アーティチョークやスイスチャード、コールラビなどの西洋野菜が多く栽培されています。
 コールラビの緑色種と紫色種をおしゃれなテラコッタなどの容器に入れて栽培すると、オーナメンタル・キッチンガーデンになります。日当たりの良い玄関に置くと、すてきなオブジェにもなります。
 コールラビは、コールはコールスローのコールと同じようにキャベツを、ラビは根菜のカブを意味します。和名はカブカンラン(蕪甘藍)、キュウケイカンラン(球茎甘藍)ともいいます。
 種まきは3月から9月までできます。キャベツより強健で、生育期間も短いので栽培は簡単です。
 深さ15cm以上の容器に市販の培養土を入れ、株間15~20cmに5粒の点まきをします。順次間引いて、本葉4枚までに1本立ちにします。球が肥大するときに乾燥させると、肉質が悪くなるので、水やりは朝やって夕に土の表面が乾く程度にします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。
 球が肥大してきたら、球から出た葉は上葉5~6枚を残して下葉を切り取り、球の肥大を促します。球に日が当たり、色が良くなります。
 球径が5~8cmに肥大したら、根元から引き抜いて収穫します。取り遅れると裂球や肉質の硬化が発生します。球の上下の硬い部分を切り落とし、皮をむいて調理します。薄くスライスしてサラダやスープの具にします。酢漬けやソテーなどにも利用できます。




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