ベランダでできるキッチンガーデン

カブ(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 聖護院カブと聖護院ダイコンは、どちらも白く大きな丸形で、とても似ています。聖護院カブはアブラナ属で菜の花の仲間ですから、花は黄色です。聖護院ダイコンはダイコン属に多い白い花を咲かせます。カブの肌はツルツルですが、ダイコンの肌にはひげ根の跡があります。
 カブは大カブ、中カブ、小カブがあり、色で白カブ、赤カブ、青カブがあります。日野菜カブや津田カブのように細長いカブもあります。在来種も数多くあります。
 ベランダで大カブの聖護院カブを作ると、一つのプランターでは2、3個しか収穫できません。プランター栽培では早生の金町系の小カブが適しています。
 カブはシードバーナリゼーション(種子春化)型といって、種が発芽したときから低温に感応して花芽を分化します。その後の高温と長日によってとう立ちは促進されます。1~2月でもプランターにビニールトンネルを掛けて保温すれば栽培できますが、とう立ちの心配の少ない3月下旬から種まきしましょう。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、条間10cmに深さ5mm程度の溝を付けて筋まきします。薄く覆土し、表土を軽く押さえ、種が流れないようにジョウロでたっぷり水やりします。
 発芽して双葉が開いたら、生育の遅い物、徒長した物を間引きます。順次間引きして、本葉4~5枚までに株間を10cmにします。間引いたものはみそ汁の具などに利用できます。
 カブに日が当たると、きれいな白色にならないので、土寄せか増し土をします。追肥は水やりを兼ねて、1000倍の液肥を1週間に1回の割合で施します。
 直径4~5cmになった物から収穫していきます。収穫の遅れは、す入りや裂根の原因になります。
 カブの花言葉は「慈愛」です。優しい食感を浅漬けやシチューなどにしてお楽しみください。


ベビーリーフ(アブラナ科、キク科、ヒユ科など)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 ベビーリーフとは、葉物野菜の若葉を大きくしないうちに摘み取り、カットしないでその独自の葉形や色合い、食感をサラダで楽しむ野菜です。切り口は葉の付け根だけなのでビタミンやミネラルの流失が少なく、活力ある新芽は高い栄養価があります。
 欧米では高級レストランや機内食から普及が始まり、一般のスーパーにもパック入りで並ぶようになりました。日本でも20年前、海外視察に行った外食産業が導入し、種苗会社がベビーリーフ専用の種子を販売したこともあり急速に広まりました。
 ベビーリーフサラダには、レタス類を中心に京菜、タアサイ、チンゲンサイ、カラシナ、シュンギクなど葉物野菜であれば、たいてい使用できます。京菜は海外でもKyona、Mizunaなどと呼ばれ、葉形の面白さやシャキッとした食感からベビーリーフサラダには欠かせない品目です。日本野菜や中国野菜が多く使われていることから、オリエンタルミックスやアジアンミックスと称されます。
 日当たりの良いベランダなら、簡単に周年栽培できます。種は好きな野菜を数点選んでまくこともできますが、「ベビーサラダミックス」や「ガーデンレタスミックス」など複数の袋詰めが便利です。
 プランターに市販の培養土を入れ、ばらまきにするか、条間10cmの筋まきにします。密にならないように種まきします。10cm四方に20粒ほどが適当です。発芽後、込んだ所は間引きしますが、ミックス種子の場合は葉形と葉色が偏らないように注意します。
 柔らかくて厚みのある葉を付けるために、乾燥や肥料切れをさせないようにします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。
 10cmくらい伸びたときに生長点を残して切り取ると、また伸びるので何回か収穫できます。
 新鮮でおいしいサラダを家庭で楽しんでください。


ホウレンソウ(ヒユ科ホウレンソウ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 ホウレンソウはアカザ科に分類されてきましたが、DNAが決める新分類ではヒユ科になりました。ヒユ科野菜にはビート、オカヒジキ、フダンソウなどもあります。
 60代以上の人たちは、ホウレンソウは赤い根に栄養があると親に教えられました。当時の赤い根のホウレンソウは東洋種で、種は針種といってとげがありました。現在のホウレンソウの品種のほとんどは、西洋種と東洋種とを掛け合わせた交配種です。丸種の西洋種を母親に、針種の東洋種を父親にして種を取っているので、種は母親と同じ丸種です。
 ホウレンソウの発芽適温は15~20度(最低4度~最高30度)ですから、秋は9月から11月まで種まきできます。寒さに強く、マイナス0~3度でも緑を失わずに収穫できます。畑でなくても、日当たりの良いベランダなら栽培できます。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、浅くまき溝を付け条間10cmで筋まきします。種が隠れるくらいに薄く覆土します。発芽したら、葉が重なったところや生育遅れを順次間引きし、本葉4~5枚までに株間3~4cmにします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。
 草丈が15cmくらいになった物から収穫していきます。冬場はビニールや不織布を掛けて保温すると、生育が早まります。
 ホウレンソウはおひたしやバター炒め、常夜鍋など加熱して食べるのが一般的でした。今は生食するホウレンソウサラダが外食の定番になっています。家庭でも取れたてのホウレンソウにカリカリに炒めたベーコンを散らし、お好みのドレッシングを掛けてお楽しみください。
 ホウレンソウは水菜やルッコラなどのようにごく若取りしてベビーリーフとしても利用できます。若い葉はシュウ酸含量が少ないので、えぐ味がなくおいしく食べられます。


サヤエンドウ(マメ科エンドウ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 正月の黒豆に始まって、大相撲夏場所のソラマメ、居酒屋のビールにエダマメなどと、日本人は本当によく豆を食べます。大豆で作られる納豆やみそ汁は毎日のように食卓に上がります。
 エダマメと大豆は同じ植物ですが、未熟の前者は野菜に、完熟の後者は食用作物に分類されます。エンドウもサヤエンドウは野菜、ウグイスマメは食用作物に分類されます。
 マメ科の花はとても魅力的です。サヤエンドウは春先に近縁のスイートピー(ハマエンドウ属)に似た花が咲きます。ベランダでサヤエンドウを栽培すれば、花の観賞と野菜の収穫が楽しめます。サヤエンドウには白花種と赤花種があります。
 サヤエンドウの仲間には、未熟な実を食べるグリーンピースと、豆が熟してもさやが柔らかくさやごと食べられるスナップエンドウがあります。エンドウは畑がなくても、日当たりが良ければ、ベランダでも栽培できます。エンドウの生育適温は15~20度で、幼苗のうちは0度以下の低温にも耐えられます。本葉2~3枚のときが最も寒さに強いので、温暖地では10月下旬から11月中旬に種まきします。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、20cm間隔、深さ2cmで、1カ所に3~5粒まきします。本葉2枚ぐらいまでに間引いて、1カ所2本立てにします。暖かくなると急に伸びるので早めに150cmの支柱を立て、つるを誘引します。
 追肥はつぼみが見え始めた頃から1000倍の液肥を1週間置きに施します。肥料が多過ぎると過繁茂になり、実の付きが悪くなります。過湿も嫌うので、少し乾燥気味に管理します。厳寒期には保湿を兼ねて、敷きわらなどで株元を保護すると良いでしょう。
 さやが大きくなり、中の豆がやや膨らんできた頃が収穫適期です。ゆでたり炒めたりして、鮮やかな緑と独特の歯触りをお楽しみください


ニンニク(ヒガンバナ科ネギ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 ニンニクはユリ科ネギ属に分類されてきましたが、DNAが決める新分類ではヒガンバナ科ネギ属になりました。ネギ属の野菜にはワケギ、タマネギ、ニラ、ラッキョウ、チャイブなどもあります。
 野菜は一般に果菜類、葉菜類、根菜類、豆類に分類されます。ニンニクはタマネギと同じように葉が変化した鱗茎(りんけい)部を食べるので、葉菜類に分類されます。しかし、根菜類のダイコンやニンジンと同じように土の中の部分を食べるのですから、なかなか納得しにくいですね。
 日本の家庭でもニンニクは欠かせない食材になりました。中国産に比べると、国産は驚くほど値段が高いですね。安心・安全なニンニクをベランダで作りましょう。
 ニンニクは「種球」で増やします。植え付け適期は9月下旬から10月上旬です。健全な種球を購入し、その鱗片を一つずつ分けます。
 市販の培養土を深さ15cm以上のプランターに入れます。株間を10 cmぐらい取り、鱗片の発根部分を下に、土に隠れる程度に浅く植え付けます。
 春先になって芽が伸びだしたら1週間に1度1000倍の液肥を水やり代わりに施します。水のやり過ぎは根を傷めるので、土の表面が乾いてからたっぷりやります。
 5月下旬から6月上旬に、葉茎が半分くらい枯れてきたら収穫します。抜き取ったらすぐに葉茎を10cmくらい残して切り、根も鱗茎を傷めないように切り取ります。数球ずつ束ねて、日陰で風通しの良い所につるして乾燥させます。
 ニンニクは西洋料理や中国料理などの引き立て役として欠かせない野菜です。また、ニンニクは体に良いということでも、とても注目されています。米国国立がん研究所が発表しているデザイナーフーズのがん予防効果食品ピラミッドの頂点はニンニクです。
 ニンニクでドラキュラだけでなく、病気も逃げ出すといいですね。


つるなしインゲン(マメ科インゲンマメ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 インゲンは改良が進み、ほとんどが筋なし品種になりましたが、子どもの頃、筋取りの手伝いをしたことがある人は多いと思います。子どもはお手伝いでいろいろなことを学びます。ぜひキッチンガーデンでも子どもにお手伝いをさせてください。
 インゲンは関西では三度豆というように、生育期間が短いので何回も種まきできます。温暖地・暖地では8月末までまけます。
 インゲンにはつるあり品種とつるなし品種があります。どちらの品種も、日当たりが良ければ、ベランダでも栽培できます。つるなし品種は早生で、支柱を立てる必要もないので、プランター栽培に適しています。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、種をじかまきします。株間を20cm取り、瓶底などで土の表面を軽く押してくぼみを作り、1カ所に4、5粒を少し間隔を空けてまきます。覆土の厚さは種の大きさの2~3倍とします。
 発芽して本葉が2枚になった頃、1カ所2本立ちにします。残す株元を手で押さえて、根が傷まないように間引きます。
 花が咲き始めたら、1000倍程度の液肥を1週間に1回施します。肥料が多過ぎると葉ばかり様(つるボケ)になり、落花やアブラムシの発生の原因にもなります。
 土が過湿や乾燥にならないよう、水やりは朝やって夕に土の表面が乾く程度とします。土がいつも湿っている状態になると、酸素欠乏になり根が傷みます。開花期に乾燥すると、落花や落莢(らっきょう)が多くなります。
 開花後2週間ぐらいで収穫期を迎えます。実が少し膨らんだ頃、さやが柔らかいうちに若取りします。取り遅れないように順次収穫していきます。
 取りたてのインゲンは甘味があり、ゆでてマヨネーズを掛けるだけでムシャムシャ食べられます。和洋中、いろいろな料理にも使えます。ゆでて冷凍保存もできます。


ニンジン(セリ科ニンジン属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 団塊の世代が小学校の図工の時間にクレヨンで描いたニンジンは、ゴボウのように長い物でした。大長ニンジンの種はフワフワの「毛付き」で売られていました。昭和40年代になると収穫が楽な短根ニンジンが普及し、種も「毛除」になり、まきやすいコーティング(ペレット)種子も開発されました。
 大長ニンジンは子どもが嫌う野菜の筆頭でした。現在の短根ニンジンは、癖がなく甘味が強い品種が多くなりました。ニンジンジュースが好きな子どもも増えました。
 ニンジンの種は独特の香りがし、毛除した種はわら草履に似ています。2~3mmの小さな種が土と水と太陽によって、おいしいニンジンになるから不思議です。
 そんなワンダーランドをベランダで展開しましょう。短根ニンジンなら深さ20cm程度のプランターでも栽培できます。市販の培養土を入れ、日当たりの良い所で栽培してください。日陰では茎葉ばかりが茂って、根が太りません。
 ニンジンなどの根菜類は移植を嫌うのでじかまきします。5mm程度のまき溝を付けて筋まきします。好光性種子なので覆土はごく薄くします。種が土から水分を吸いやすくするために、表土を軽く手で押します。発芽するまでは土が乾かないように新聞紙を掛けておきます。
 本葉1~2枚になったら葉の密生しているところを順次間引きし、本葉5~6枚のときに株間10~15cmにします。間引きした物はサラダなどにして食べられます。根部の肩が日に当たると緑色に変色してしまうので、間引き後は根が露出しないように土寄せ、または増し土をします。追肥は1000倍の液肥を7~10日置きに施します。
 種まき後3~4カ月で収穫できます。取れ立てのニンジンは葉も天ぷらなどにして食べられます。店頭では売られていないニンジンの葉を楽しめるのは、キッチンガーデンの醍醐味(だいごみ)です。


キュウリ(ウリ科キュウリ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 キュウリの原産地はインドのヒマラヤ山麓です。漢字で「胡瓜」と書くように、西域から中国を経て日本に渡来しました。
 キュウリは果皮が緑色ですが、黄瓜とも書きます。実は私たちが食べているキュウリは未熟な果実で、熟すと鮮やかな黄色になります。採種はヘチマのように大きくなった「黄瓜」からします。
 40年前までのキュウリは、暑さなどから実を守るブルームという、ブドウやプラムなどと同じような、白い粉を吹いていました。ブルームを農薬と勘違いする消費者もいました。近年流通しているほとんどのキュウリは、カボチャ台木に接ぎ木して、果皮がしっかりして色つやが良く、日持ちするブルームレスキュウリです。ブルームレスキュウリは風味や歯切れが悪いといわれ、キュウリの消費量は年々減っています。
 キッチンガーデンでは、自根のおいしいブルームキュウリを作りましょう。
 日当たりと風通しの良いベランダなら、鉢やプランターでも栽培できます。地温が高い6~7月では、じかまきができます。
 10号(30cm)以上の鉢か大型プランターに市販の培養土を入れ、中央に種を3~4粒まき、種の厚さの3倍(約1cm)の覆土をします。順次間引きして、本葉3~4枚までに1本立ちします。
 キュウリは水を好むので、水やりは毎日、朝やって夕に土の表面が乾く程度にします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。
 つるが伸び始めたら2mくらいの支柱を立てて、ひもで軽く縛って誘引します。ネットを張って緑のカーテンでの栽培もできます。
 低位節(4~5節)から発生した側枝や雄花は摘み取ります。親づるが人間の背丈くらいまで伸びたら摘芯(先端を摘まむ)します。5~6節以上から出る子づるは葉2枚を残して摘芯します。果長が約20cmになったら収穫です。生育が早いので、果実が大きくなり過ぎないように注意します。




ページ上部へ