ベランダでできるキッチンガーデン

ケール(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 今では毎日のように目にする青汁のテレビコマーシャルは1990年ころから始まりました。それまで青汁は首都圏では東京・銀座や横浜・桜木町などの数少ないお店でしか飲むことができませんでした。
 健康食品として飲用される青汁の原料はケールです。ケールは欧州で紀元前から栽培されていました。ケールから花蕾(からい)を食べるブロッコリーやカリフラワー、茎を食べるコールラビ、脇芽を食べる芽キャベツなどが分化しました。耐暑性や耐寒性があり、とても強健な葉物野菜です。カロテンやビタミンCを多く含みます。長期間収穫できるので家庭菜園に適しています。日当たりの良いベランダなら簡単に栽培できます。春から秋まで随時種まきできます。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れます。株間20~25cmで、1カ所に4~5粒の点まきをします。発芽して双葉が開いたら、子葉の形が悪い物などを順次間引きして1本立てにします。追肥は1週間置きに1000倍の液肥を施します。朝方に水やりし、夕方に土の表面が乾く程度にします。
 和名が「緑葉甘藍(かんらん)」や「羽衣甘藍」というように、キャベツの仲間ですから、アオムシやヨトウムシなどの害虫が付くことがあります。生葉を利用するので、農薬は使用したくありません。毎日、葉の裏まで観察し、見つけ次第割り箸などでつまみ捕殺します。秋まき栽培は害虫の発生は少ないです。
 葉が10枚以上になったら、下の葉から順に摘み取り利用します。新鮮な葉をジューサーにかけて青汁にします。蜂蜜を入れて飲めば「まずいっ!」ということはありません。サラダや炒め物の具にすることもできます。
 葉が大きく形も面白いので、観葉植物としても楽しめます。緑を見ていると心が落ち着きます。ケールを育てて、心と体の健康を増進させてください。


ビート(ヒユ科フダンソウ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 ビートやホウレンソウはアカザ科に分類されてきましたが、DNAが決める新分類ではヒユ科になりました。
 世界三大河川や世界三大通貨などといいますが、世界三大スープはボルシチ、フカヒレスープ、トムヤムクン、ブイヤベースの四つの中から三つに絞れないようです。
 ロシア料理のボルシチは、ビートやタマネギなどの野菜と牛肉を炒めてからじっくり煮込んだスープです。日本ではビートの青果が入手しにくいため、家庭の食卓に上ることは少ないです。
 ビートがスーパーに並んでいなければ、自分で作りましょう。ビートの種はホームセンターや通信販売などで入手できます。栽培も簡単でベランダでもできます。ビートは冷涼な気候を好み、夏と冬は品質が悪くなるので、春と秋に種まきします。
 深さ15cm以上のプランターを日当たりの良い場所に置き、市販の培養土を入れます。種皮が堅いので、一昼夜水に浸すと発芽が良くなります。株間15cmで、1カ所に3~4粒の点まきをします。種の2~3倍の覆土をし、軽く鎮圧します。
 ビートは多胚種子といって1粒の種から複数の芽が出ます。順次間引きして1本立てにします。追肥は1週間置きに1000倍の液肥を施します。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。根が直径5~6cmになったら抜き取り収穫します。収穫が遅れると肌が粗くなり、肉質も堅くなります。
 真紅の根を輪切りにすると、断面は同心円状に彩られています。生のままサラダにすることもできます。
 皮をむいて二~四つに切ってからゆでると、ゆで汁が鮮紅色になります。スープや酢漬けなどにしますが、ゆで汁もダイコンやカブ、ミョウガなどの色付けにも利用できます。
 『カチューシャ』や『ともしび』などのロシア民謡を歌いながらボルシチを煮込めば、よりいっそうおいしくなると思います。


リーフレタス(キク科アキノノゲシ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 レタスが日本で本格的に栽培されるようになったのは、戦後の1946年に進駐軍が東京都調布に礫耕(れきこう:水耕栽培の一種)施設を作ってからです。当時の日本人は葉物を生で食べる習慣はありませんでした。下肥で栽培した葉物は非常に不衛生なので、化学肥料が普及するようになりました。化学肥料はお金で買うことから金肥ともいい、それで栽培された野菜は清浄野菜と呼ばれました。
 レタスが一般家庭に普及した契機は、1964年の東京オリンピックです。映画『エデンの東』で見たレタスが、日本でも千葉県館山などに産地ができ、食卓に上るようになりました。1970年代になるとレタスを挟んだハンバーガーを食べるようになりました。
 レタスは玉レタス、リーフレタス、コスレタス、茎レタスの四つに大きく分類されます。キッチンガーデンにはじかまきができ、病虫害にも強く生育が早いリーフレタスがお薦め。
 日当たりの良いベランダに深さ15cm以上のプランターを置き、市販の培養土を入れます。条間15cmの筋まきをします。好光性種子なので覆土はごく薄くし軽く鎮圧します。種が流れないように、発芽するまでは霧吹きなどで優しく水やりします。
 発芽したら細い物や徒長した物などを間引き、株間を15cmにします。水やりは朝にし、夕に土の表面が乾く程度に。追肥は1週間置きに1000倍の液肥を施します。
 本葉10枚以上になったら、株ごと抜いて収穫するか、下葉からはさみで切り取りながら利用します。
 リーフレタスは玉レタスより栄養価が高く、カロテンを多く含んでいます。生のままサラダにして食べるのが一般的ですが、炒め物、スープやみそ汁の具、チャーハンなどにしてもおいしいです。
 リーフレタスはグリーンとレッドの品種があります。どちらも照りがあり美しく、波打つ葉形が面白いので、観賞用としても楽しめます。


ワケギ(ヒガンバナ科ネギ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 新聞や雑誌は常用漢字の使用が多いので、胡瓜(キュウリ)や人参(ニンジン)、蚕豆(ソラマメ)などの漢字表記を目にすることが少なくなりました。野菜の漢字は、品種と同様に長い歴史と文化があるので、後世にきちんと伝えたいものです。
 ワケギは漢字では分葱と書きますが、ワケネギと読んでしまう人も多いです。ワケギはネギ(葱)やタマネギ(玉葱)、ラッキョウ(辣韮)、アサツキ(浅葱)などの仲間です。ネギやタマネギは種から栽培しますが、ワケギはラッキョウやアサツキと同じように種球から増やします。
 種球からの栽培は手間のかかる育苗が不要なのでとても簡単です。ワケギは畑でなくても日当たりの良いベランダなら栽培できます。
 種球は7~8月にホームセンターなどで購入します。8月下旬~9月下旬に種球を半日ほど日に当てて乾かし、外皮を丁寧に剥がし、先端の枯れている部分をはさみで切り取ります。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、株間10cmで2~3球ずつ上部が少し出るように植え付けます。過湿と過乾にならないように、土の表面が乾いたら水やりします。草丈が10cmくらいになったら、1週間置きに1000倍の液肥を施します。
 草丈が20cmくらいになったら、株元を2~3cm残し、切り取り収穫します。再び葉が伸びてくるので、2~3回収穫できます。
 次回の種球を取る株は、球根を肥大させるために葉は収穫しないで伸ばしたままにします。5月に葉が枯れて倒伏したら、種球を掘り上げます。1個の球根が10~20個以上になります。風通しの良い場所で貯蔵します。
 ワケギはネギやニラのような刺激性の臭いはありません。穏やかな香りと風味を楽しんでください。酢みそあえや卵とじにするだけでなく、ナムルやチヂミにして韓国の食文化を味わうのも良いでしょう。




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