ベランダでできるキッチンガーデン

ミョウガ(ショウガ科ショウガ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 「ミョウガを食べ過ぎると物忘れをする」といわれますが、科学的な根拠はなく、そのような成分は含まれていません。東京メトロ丸ノ内線の茗荷谷駅や東西線の早稲田駅の周辺は、かつてはミョウガの産地でした。両駅は優秀な教育機関の最寄り駅となり、これもミョウガと物忘れとは結び付きません。
 ミョウガは半日陰を好みます。ベランダのプランターでも栽培できます。薬味がキッチンの近くにあると重宝します。
 ミョウガには花蕾(からい)を7~8月に収穫する夏ミョウガと、9月に収穫する秋ミョウガがあります。ミョウガは種茎を植えて育てます。種茎は春先にホームセンターなどに並びますが、通信販売や栽培している知人から分けてもらっても良いでしょう。
 植え付けは種茎の芽が動きだす前の1~3月が適期です。深さ20cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、深さ5cmほどの溝を作ります。種茎を横にして20cm間隔に植え付け、軽く覆土します。乾燥を嫌うので敷きわらをし、土の表面が乾かないように十分水やりします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 花蕾が地上に半分くらい出てきたところを収穫します。取り遅れると花が咲いて品質が落ちます。
 株が充実してくる2年目以降は、春先に芽が出る前に黒ビニールやバケツをかぶせて遮光し、ミョウガタケを作ることもできます。
 毎年収穫できますが、4~5年たつと根茎が込み合って、花蕾の出が悪くなります。活力を取り戻すために、6月上旬に15cm間隔に間引きします。思い切って冬の間に植え替えるのも良いです。
 ミョウガは日本特有の香味野菜で、香り成分には食欲増進の効果があります。食欲が減退する夏場でも、ミョウガを薬味にしたそうめんならスルスル食べられます。血行促進の効果もあり、血の巡りが良くなれば物忘れなどしません。


ニラ(ヒガンバナ科ネギ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 韮(ニラ)という漢字を見ると、山梨の韮崎高校や静岡の韮山高校を思い浮かべます。どちらも通称「韮高」です。韮崎高校はサッカー、韮山高校は野球の伝統校です。両校の元気の源はニラレバ炒めではないかと勝手に想像しています。
 両校とも文武両道で生徒はとても勤勉だと思います。ところがニラの別名は懶人草(らいじんそう)で、懶人とは怠け者のことです。ニラは栽培が簡単なので、怠け者でも作れるからです。
 暑さや寒さに強く、ベランダのプランターでも栽培できます。半日陰でも丈夫に育ちます。多年草なので一度種をまけば根が残って毎年収穫できます。種まき適期は3~4月です。深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、10cmの間隔で1カ所に約10粒の点まきをします。薄く覆土し、軽く鎮圧します。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。
 草丈が約10cmになったら、1カ所3~4本に間引きします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。さらに草丈が伸び20~25cmになったら、株元を4~5cm残してはさみで切り取り収穫します。株が充実してくる翌年からは、年に4~5回収穫できます。
 夏から秋にかけては花蕾(からい)が伸びてきて、白いきれいな花を咲かせます。花を楽しんでも良いのですが、開花・結実させると株が弱るので、早めに摘み取った方が良いです。摘み取った花茎は、おひたしなどにすると美味です。
 冬になると地上部は枯れます。枯れ葉は病原菌のすみかにならないように、きれいに刈り取っておきます。根は生きているので、春になると新葉が伸びてきます。3~4年たつと株が弱ってくるので、掘り上げて株分けして植え替えます。
 ニラはギョーザの具、みそ汁の実、卵とじ、おひたし、あえ物などいろいろな料理に使えます。


小松菜(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 「漬け菜」とは一般には漬物に使用する菜っ葉ですが、農学では非結球のアブラナ属の葉菜のことをいいます。野沢菜やチンゲンサイなどがあり、結球するハクサイやキャベツは含みません。
 江戸幕府第8代将軍徳川吉宗が命名したといわれる小松菜は、関東地方で栽培されてきたツケナの一つです。1970年代に世界初の小松菜の交配種「みすぎ」が育成されると、新しい産地が次々にでき、全国の野菜売り場に並ぶようになりました。
 交配種は雑種強勢と両親のいいところ取りによって、生育が旺盛で収量が上がり、病気に強く味も良くなります。現在のツケナの大半は交配種です。日本の野菜の育種は世界のトップクラスです。
 交配種はそろいが良いので、規格通りに出荷する生産者にとっても、同じ価格で販売する流通業者にとっても、大きなメリットがあります。一斉に収穫はしない家庭菜園では、収穫期に幅がある「固定種」の方が良いかもしれません。
 小松菜は暑さや寒さに強く、ほぼ周年栽培ができます。深さ10cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、5cm間隔に筋まきします。小松菜は種が細かく多くまきがちですが、発芽が良いので厚まきすると間引きに手がかかります。薄く覆土をして軽く鎮圧します。発芽まで乾燥させないようにします。
 発芽後、順次間引きして、本葉4~5枚のときに株間を約5cmにします。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。本葉4~5枚になった物から収穫し、本葉7~8枚までに終えるようにします。
 水菜、広島菜、芭蕉菜など、小松菜以外のツケナも栽培方法は似ています。子どもの頃のお雑煮やみそ汁に入っていた菜っ葉を思い出して、種まきするのも良いでしょう。


イチゴ(バラ科オランダイチゴ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 果物屋でも八百屋でも売られているメロンやイチゴは、果物、それとも野菜でしょうか。
 植物的分類では、野菜は毎年種をまいたり苗を植えたりして収穫する一年生の草本作物で、果物は樹木に結実する実を何年にもわたり収穫する永年性の木本作物です。
 ウリ科のメロンは種から育てて、1年以内に収穫を終える草本作物なので、植物的分類では野菜です。イチゴはバラ科で、バラ科は永年作物ですから果物になります。
 農林水産省の統計ではメロンやイチゴは野菜として集計されますが、同省が認可監督する中央卸売市場では果物として扱われます。メロンやイチゴは「果物的野菜」に分類するのが良いのかもしれません。
 イチゴはベランダでも簡単に栽培できます。10月になるとキッチンガーデン向きの品種の苗がホームセンターなどの店頭に並びます。ポット苗に付いているラベルの写真と説明を見て、好みの苗を購入します。
 深さ15cm以上のプランターをベランダの日当たりの良い所に置き、市販の培養土を入れます。株間15~20cmに、クラウン(根茎部分)の根元が見えるくらいに浅植えします。土が乾いたら冬でも水やりをします。
 活着する11月上~中旬と、葉茎が本格的に伸びてくる2月下旬~3月上旬に1000倍の液肥を1週間置きに施します。黄色く枯れた葉や赤くなった葉は、葉の付け根から丁寧にかき取ります。
 品種やその年の気候によっても多少違いますが、5~6月に収穫できます。赤くなった物から収穫します。果実には手を触れずに、果梗(かこう)のところを爪で摘み取ります。
 収穫が終わると、親株からランナーが伸びて子株ができます。この子株を育てて苗を作ります。これを毎年繰り返します。
 数年後にイチゴを収穫しながら「このイチゴは〇〇ちゃんが生まれた年から栽培しているのだよ」という会話ができるかもしれません。




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