ベランダでできるキッチンガーデン

リーフレタス(キク科アキノノゲシ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 レタスが日本で本格的に栽培されるようになったのは、戦後の1946年に進駐軍が東京都調布に礫耕(れきこう:水耕栽培の一種)施設を作ってからです。当時の日本人は葉物を生で食べる習慣はありませんでした。下肥で栽培した葉物は非常に不衛生なので、化学肥料が普及するようになりました。化学肥料はお金で買うことから金肥ともいい、それで栽培された野菜は清浄野菜と呼ばれました。
 レタスが一般家庭に普及した契機は、1964年の東京オリンピックです。映画『エデンの東』で見たレタスが、日本でも千葉県館山などに産地ができ、食卓に上るようになりました。1970年代になるとレタスを挟んだハンバーガーを食べるようになりました。
 レタスは玉レタス、リーフレタス、コスレタス、茎レタスの四つに大きく分類されます。キッチンガーデンにはじかまきができ、病虫害にも強く生育が早いリーフレタスがお薦め。
 日当たりの良いベランダに深さ15cm以上のプランターを置き、市販の培養土を入れます。条間15cmの筋まきをします。好光性種子なので覆土はごく薄くし軽く鎮圧します。種が流れないように、発芽するまでは霧吹きなどで優しく水やりします。
 発芽したら細い物や徒長した物などを間引き、株間を15cmにします。水やりは朝にし、夕に土の表面が乾く程度に。追肥は1週間置きに1000倍の液肥を施します。
 本葉10枚以上になったら、株ごと抜いて収穫するか、下葉からはさみで切り取りながら利用します。
 リーフレタスは玉レタスより栄養価が高く、カロテンを多く含んでいます。生のままサラダにして食べるのが一般的ですが、炒め物、スープやみそ汁の具、チャーハンなどにしてもおいしいです。
 リーフレタスはグリーンとレッドの品種があります。どちらも照りがあり美しく、波打つ葉形が面白いので、観賞用としても楽しめます。


ワケギ(ヒガンバナ科ネギ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 新聞や雑誌は常用漢字の使用が多いので、胡瓜(キュウリ)や人参(ニンジン)、蚕豆(ソラマメ)などの漢字表記を目にすることが少なくなりました。野菜の漢字は、品種と同様に長い歴史と文化があるので、後世にきちんと伝えたいものです。
 ワケギは漢字では分葱と書きますが、ワケネギと読んでしまう人も多いです。ワケギはネギ(葱)やタマネギ(玉葱)、ラッキョウ(辣韮)、アサツキ(浅葱)などの仲間です。ネギやタマネギは種から栽培しますが、ワケギはラッキョウやアサツキと同じように種球から増やします。
 種球からの栽培は手間のかかる育苗が不要なのでとても簡単です。ワケギは畑でなくても日当たりの良いベランダなら栽培できます。
 種球は7~8月にホームセンターなどで購入します。8月下旬~9月下旬に種球を半日ほど日に当てて乾かし、外皮を丁寧に剥がし、先端の枯れている部分をはさみで切り取ります。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、株間10cmで2~3球ずつ上部が少し出るように植え付けます。過湿と過乾にならないように、土の表面が乾いたら水やりします。草丈が10cmくらいになったら、1週間置きに1000倍の液肥を施します。
 草丈が20cmくらいになったら、株元を2~3cm残し、切り取り収穫します。再び葉が伸びてくるので、2~3回収穫できます。
 次回の種球を取る株は、球根を肥大させるために葉は収穫しないで伸ばしたままにします。5月に葉が枯れて倒伏したら、種球を掘り上げます。1個の球根が10~20個以上になります。風通しの良い場所で貯蔵します。
 ワケギはネギやニラのような刺激性の臭いはありません。穏やかな香りと風味を楽しんでください。酢みそあえや卵とじにするだけでなく、ナムルやチヂミにして韓国の食文化を味わうのも良いでしょう。


ピーマン(ナス科トウガラシ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 緑のピーマンは熟してくるとトウガラシのように赤くなります。赤いピーマンは青臭さが消え、甘くなり、栄養価も増します。
 しかしなぜ、農家は赤いピーマンを出荷しないのでしょうか。それは熟すのに日数がかかり、青果は日持ちしないからです。緑のピーマンは開花後15~20日で収穫できますが、ピーマンが熟して赤くなるには60日くらいかかり、株への負担も大きくなります。パプリカ(大型ピーマン)のように肉厚ではないので、熟すとしなびやすくなります。
 経済性よりも育てる楽しみを優先するキッチンガーデンでは、数個のピーマンを赤くしてサラダなどの彩りにしてもよいでしょう。子どもにも食べやすく、親子の会話も弾みます。畑でなくても、日当たりの良いベランダなら栽培できます。
 熱帯アメリカ原産のピーマンはナス科でも最も高温性で、発芽適温も生育適温も25~30度です。キッチンガーデンでは発芽と育苗の高温を確保するのは難しいので、5月に苗を購入するのが一般的です。
 10号(30cm)以上の鉢に市販の培養土を入れます。深植えにならないように苗を植え、倒れないように仮支柱を立てて軽くひもで縛っておきます。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 活着(根付くこと)すると1番花が咲き始め、側枝が伸びてきます。主枝と1番花のすぐ下から出てくる側枝2本を残し、他はかき取ります。仮支柱を50~60cmの支柱に換え、各枝を誘引します。果実が次々となるので、肥料切れにならないようにします。乾燥に弱いので、株元にわらやピートモスなどを敷いて、水やりを毎日します。
 収穫ははさみで切り取ります。開花後20日を過ぎても外観は変化がないので、取り遅れないように注意します。ピーマンの和名は甘唐辛子で、トウガラシやシシトウも仲間。栽培方法も同じですが、肉詰めやみそ炒めに適しているのはピーマンです。


バジル(シソ科メボウキ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 ハーブという言葉が日本で多く使われるようになったのは、世界各国のレストランが大阪万博(1970年)に出店した頃からです。代表的ハーブのバジルもその頃から普及するようになりました。最もポピュラーなのは光沢のある葉のスイートバジルです。属名や和名のメボウキ(目箒)は、種を目に入れると寒天のような物質が出て目のごみを取り去るからだといわれています。
 「イタ飯ブーム」(1990年ころ)の際、葉の緑色がイタリア国旗を象徴していると話題になりました。白色はチーズ、赤色はトマトのマルゲリータピザやカプレーゼサラダなどです。
 熱帯アジア原産の多年草のバジルは、日本では越冬できないので一年草として扱われます。発芽適温も生育適温も20~25度ですから、種まきは遅霜の心配がない4月中旬以降です。畑がなくても、日当たりの良いベランダで栽培できます。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、20cm間隔で種を4~5粒ずつ点まきをします。好光性種子なので覆土はごく薄くし、十分水やりします。本葉2枚の頃に健全な苗を残して1本立てします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。
 本葉10枚ぐらいになったら、摘芯して脇芽を伸ばします。摘芯することによって、葉が多く出るようになります。
 短日植物なので、7月中旬からシソに似た白い花を付けます。花が咲くと株が老化しやすいので、花穂は早めに摘み取ります。
 順次葉を摘み取り収穫します。多めに収穫したときは乾燥や冷凍、ペーストにして保存し、香りを一年中楽しみます。
 イタリア語ではバジリコ。ゆでたてのスパゲティに生のバジルの葉を刻んであえればバジリコスパゲティになります。さらにトマトを加えれば緑・白・赤のイタリアンカラーになります。




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