ベランダでできるキッチンガーデン

オクラ(アオイ科フヨウ属) 

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 英語のオクラの語源は、オクラを意味するアフリカ・ガーナ地域の言葉「ンクルマ」だといわれています。オクラというと山上憶良(やまのうえのおくら)を思い浮かべる人もいると思います。「銀(しろかね)も 金(くがね)も玉も 何せむに まされる宝 子に及(し)かめやも」の詠み人です。オクラには滋養強壮作用があるといわれています。
 アオイ科フヨウ属のオクラは、同科同属のハイビスカスに似た黄色の花を咲かせます。野菜の花の中でオクラの花は人気上位です。オクラは花観賞用としても秋まで長い間楽しめます。開花は早朝から始まり、午後にはしぼみます。
 日当たりの良いベランダでしたら、オクラは鉢栽培もできます。オクラはアフリカ原産で暑さには特に強いですが、寒さには弱いです。発芽適温も生育適温も25~30度なので、種まきは5月中旬以降にします。
 オクラは草丈が1m以上にもなるので、10号(30cm)以上の鉢を用意します。市販の培養土を鉢に入れ、真ん中に4~5粒種まきし、1cmほど覆土し、軽く鎮圧します。オクラの種は表皮が堅く吸水しにくいので、一昼夜水に浸してから種まきすると発芽が早まります。
 子葉が出たらはさみで切って2~3本に、本葉3~4枚で1本立ちにします。草丈が30cm以上になったら、120cmぐらいの支柱を立てて、倒伏を防止します。
 株元に腐葉土やわらを敷き、乾燥を防ぎます。過湿に気を付け、毎日適量の水やりをします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 開花後3~5日の若いさやをはさみで切って収穫します。取り遅れると、すぐにさやが堅くなってしまうので、小まめに収穫します。収穫したさやの下の葉は、順次はさみで切っていきます。
 オクラ納豆、天ぷらなど、夏の味覚をお楽しみください。


エンサイ(ヒルガオ科サツマイモ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 エンサイは中国野菜として、1972年の日中国交正常化に伴いパンダと一緒に本土にやって来ました。チンゲンサイやタアサイのように野菜売り場に並ぶことは少ないですが、中華料理店では青菜炒めの食材に使用するところが多いです。
 エンサイは沖縄では古くから真夏の野菜「ウンチェー」として利用されてきました。沖縄から本土へのエンサイやサツマイモの移動は、ゾウムシなどのまん延を防ぐ植物防疫法によって規制されています。
 ゴーヤーやメロンなどのウリ科野菜も移動を規制されていましたが、1993年にウリミバエを根絶したので規制は解かれました。人工的に不妊化した害虫を大量に放し、害虫の繁殖を妨げる不妊虫放飼という方法です。ゾウムシなどもこの方法で根絶しようとしています。
 エンサイは別名がクウシンサイ(空芯菜)やアサガオナ(朝顔菜)というように茎が空洞で、秋にはアサガオに似た白い花を付けます。
 日当たりの良いベランダなら、プランターでも簡単に栽培できます。
 発芽適温20~30度、生育適温25~30度の高温性植物なので、4月下旬以降に種まきします。生育旺盛で水分を多く必要とするので、プランターは深さ20cm以上の物を用意します。プランターに市販の培養土を入れ、20cm間隔に3~4粒ずつ点まきして、1cm程度の覆土をします。種はアサガオのように硬実なので、一昼夜水に漬けてからまくと発芽が早まります。
 本葉2枚の頃、1カ所1株に間引き、1週間置きに1000倍の液肥を施します。多湿を好むので、水やりは毎日たっぷりし、培養土がいつも湿っているようにします。
 主茎が20cmほどになったら、摘芯して側枝を伸ばします。伸びてくる側枝を15~20cmで順次収穫していきます。
 エンサイはカルシウム、カリウム、鉄分に富む夏野菜です。炒め物、おひたし、あえ物などにして、独特の食感をお楽しみください。


ナス(ナス科ナス属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 野菜の品種は交配種が主流となり、固定種の地方品種はどんどん少なくなっています。そんな中、ナスはいまだに地方独特の品種が栽培されています。大長、中長、小丸など形の違いだけでなく、果皮が白や緑のナスもあります。
 家庭菜園では好きな品種の種を取り寄せて栽培するのが一番ですが、ナスは育苗が難しいです。インド原産のナスの発芽適温は25~30度、生育適温は20~30度です。種まき・育苗期の2~4月に適温を長期間確保するには、加温施設が必要です。
 ベランダ菜園では5月に苗を購入して栽培するのが一般的です。以前は中長ナスと米ナスくらいでしたが、今は数多くの品種の苗が店頭に並んでいます。
 日当たりと風通しの良いベランダで、10号(30cm)以上の鉢に市販の培養土を入れます。深植えにならないように苗を植え、倒れないように仮支柱を立てて軽くひもで縛っておきます。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 活着すると1番花が咲き始め、側枝が伸びてきます。主枝と1番花のすぐ下から出てくる側枝2本を残して、他はかき取ります。仮支柱を50~60cmの3本の支柱に替え、各枝を誘引します。
 ナスは水で太る野菜です。水切れさせないように毎日たっぷり水やりし、乾燥防止のために株元にわらやピートモスなどを敷いておきます。
 開花後、最初の頃は25~30日、最盛期は15日以内で収穫できるので、はさみで切り取ります。
 7月中旬ころ、暑さで株が弱ってきたら、思い切って枝の半分くらいを切り詰めます。主枝と2本の側枝に2枚以上の葉が残るようにします。しばらくすると元気な新芽が伸びてきて、9月いっぱい収穫できます。数百円の苗で、その数倍の価値のある栽培が楽しめます。
 取りたて新鮮なナスを、和食なら漬物や天ぷらに、イタリアンならパスタやピザに、中華ならマーボーなどにご利用ください。


ジャガイモ(ナス科ナス属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 ジャガイモは世界の食料飢饉(ききん)を救ってきました。ロシアが度重なる経済危機を迎えても餓死者を出さなかったのは、多くの国民が「ダーチャ」と呼ばれる市民農園でジャガイモを栽培していたからだといわれています。
 ベランダでのジャガイモ栽培は貯蔵できるほどの収穫量はありませんが、土の中からゴロゴロと芋を掘り上げる経験は楽しめます。ジャガイモの花をこよなく愛したマリー・アントワネットに思いをはせることもできます。
 スーパーに並んでいるジャガイモは「男爵薯」と「メークイン」が多いです。家庭菜園では皮が赤い物、中が紫色の物など数多くの品種から好きな物を選べます。
 3月になったら、日当たりと風通しの良いベランダで、大型プランターや10号(30cm)以上の鉢などに市販の培養土を入れます。種芋は60gなら二つに、それ以上に大きい物は3~4個に、各切片に芽が均等に付くように切り分けます。
 1~2日乾かした種芋の切り口を下にして、深さ7~8cm、株間20~30cmで植え付けます。
 一つの種芋から数本の芽が出てきます。そのままにしておくと小さな芋しか収穫できません。芽が10cmぐらいに伸びたら、元気の良い芽を1~2本だけ残します。残す芽の株元をしっかり押さえて、かく芽を横に倒して引き抜きます。
 追肥は水やりを兼ねて1週間に1度1000倍の液肥を施します。芋に日が当たると緑化してしまうので、適宜増し土をします。乾き過ぎや湿り過ぎにならないように水やりをします。6月中下旬になると枯れ始めます。半分以上枯れ込んだら、晴天の日に掘り上げ、日陰で半日ぐらい乾かして保存します。
 取れたてのジャガイモは皮が柔らかく、丸ごと食べられます。自家菜園なので農薬の心配もありません。ゆでジャガイモのバター掛けや丸揚げなどにしてお楽しみください。


カブ(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 聖護院カブと聖護院ダイコンは、どちらも白く大きな丸形で、とても似ています。聖護院カブはアブラナ属で菜の花の仲間ですから、花は黄色です。聖護院ダイコンはダイコン属に多い白い花を咲かせます。カブの肌はツルツルですが、ダイコンの肌にはひげ根の跡があります。
 カブは大カブ、中カブ、小カブがあり、色で白カブ、赤カブ、青カブがあります。日野菜カブや津田カブのように細長いカブもあります。在来種も数多くあります。
 ベランダで大カブの聖護院カブを作ると、一つのプランターでは2、3個しか収穫できません。プランター栽培では早生の金町系の小カブが適しています。
 カブはシードバーナリゼーション(種子春化)型といって、種が発芽したときから低温に感応して花芽を分化します。その後の高温と長日によってとう立ちは促進されます。1~2月でもプランターにビニールトンネルを掛けて保温すれば栽培できますが、とう立ちの心配の少ない3月下旬から種まきしましょう。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、条間10cmに深さ5mm程度の溝を付けて筋まきします。薄く覆土し、表土を軽く押さえ、種が流れないようにジョウロでたっぷり水やりします。
 発芽して双葉が開いたら、生育の遅い物、徒長した物を間引きます。順次間引きして、本葉4~5枚までに株間を10cmにします。間引いたものはみそ汁の具などに利用できます。
 カブに日が当たると、きれいな白色にならないので、土寄せか増し土をします。追肥は水やりを兼ねて、1000倍の液肥を1週間に1回の割合で施します。
 直径4~5cmになった物から収穫していきます。収穫の遅れは、す入りや裂根の原因になります。
 カブの花言葉は「慈愛」です。優しい食感を浅漬けやシチューなどにしてお楽しみください。




ページ上部へ