ベランダでできるキッチンガーデン

シュンギク(キク科シュンギク属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


シュンギクの花を見たことがありますか。
 果菜類は花が咲かないと実が付きませんが、葉菜類や根菜類は花が咲いてしまうと収穫に至りません。普通の栽培ではシュンギクの花を見ることはありません。秋まきしたシュンギクを春まで残しておくと、黄色や半黄半白の美しい花が咲きます。シュンギクはもともと花を観賞する植物で、食用としているのは東アジアだけです。
 シュンギクの収穫方法には、根を付けて抜き取り収穫する「抜き取り収穫」と、脇芽を摘み取り収穫する「摘み取り収穫」があります。「抜き取り収穫」は関西で、「摘み取り収穫」は関東で多く行われています。
 シュンギクの品種は大葉種、中葉種、小葉種に分類されます。「お多福」などの大葉種は主に関西以西で栽培され、脇芽の出が良くないため「抜き取り収穫」されます。全国各地で栽培されている中葉種は、「抜き取り収穫」には株元からの分枝が多い株張り型品種が、「摘み取り収穫」には節間が長く伸びやすい品種が使われています。キッチンガーデンには、脇芽を次々と収穫でき、栽培期間が長い「摘み取り収穫」が適しています。
 シュンギクは発芽も生育も適温が15~20度で、日当たりの良いベランダなら3月から10月まで種まきすることができます。深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、条間15cmに筋まきします。好光性種子なので薄く覆土し軽く押さえ、たっぷり水やりします。発芽するまで乾燥させないようにし、発芽したら順次間引きし、本葉4~5枚のときに株間15cmにします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。
 草丈が20~30cmになったら、下の方の葉を4~5枚残して株の上部を摘み取り、脇芽を出させます。脇芽が15 cmくらい伸びたら順次収穫していきます。


ショウガ(ショウガ科ショウガ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 戸外で作業ができない冬季に、ストーブやこたつで暖を取りながら、春の作付け計画を立てることをストーブ園芸といいます。種苗会社からカタログを取り寄せると参考になります。掲載されている野菜の大半は、ベランダでも栽培できます。
 多くの家庭の冷蔵庫にはワサビやからし、ニンニクなどのチューブ入りスパイスが常備されています。いつの間にかショウガもチューブ入りを使うようになりました。台所におろし金がない家庭もあります。子どもたちはショウガはチューブの中に入っていると思っているかもしれません。
 春になったら、ショウガをベランダで栽培しましょう。添加物のない、本物のショウガです。塊茎の大きさにより大・中・小ショウガがあり、大ショウガには「印度」、中ショウガには「房州」、小ショウガには「谷中」などの品種があります。キッチンガーデンでは、小ショウガを使用し、筆ショウガ、葉ショウガ、新ショウガと順に楽しむと良いでしょう。
 ショウガは高温を好むので、4月下旬から日当たりの良い所で栽培を始めます。深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、種ショウガを10cm間隔に、芽を上にして植え付けます。種ショウガは前もって、2~3芽を付けて50gほどに分割し、2~3日乾かしておきます。覆土は5cmとします。プランターにビニールを掛け保温すると、発芽が早まります。乾燥と過湿を嫌うので、水やりは朝夕に土の表面が乾く程度にします。追肥は1000倍の液肥を、灌水(かんすい)を兼ねて1週間に1度施します。小まめに増し土をします。
 7~8月に新芽の元に新しいショウガが付くので、種ショウガを掘り上げないように手で押さえて引き抜き、筆ショウガとして利用します。新しい根が少し肥大したら葉ショウガ、初秋に塊茎が大きくなったら新ショウガとして収穫します。


パセリ(セリ科オランダゼリ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 野菜は文化です。野菜の種は、人と情報の多い所に集まります。都があった奈良・京都、参勤交代が行われた江戸、開港した横浜に種苗商が栄えました。パセリは18世紀にオランダから長崎に伝わり、オランダゼリともいわれ、種は明治時代からは横浜港に多く入荷しました。
 キッチンガーデンという言葉が多く使われるようになったのは、「ガーデニング」が新語・流行語大賞トップ10に選ばれた1997年ごろからでしょうか。キッチンガーデンは直訳すれば台所の庭。台所にあって重宝するのがパセリです。
 パセリは料理の添え物というイメージが強いですが、ビタミンやカルシウム、鉄分を多く含んだ利用価値の高い野菜です。サラダやスープ、天ぷらなどにも使用されています。
 国内の栽培は縮葉種(カーリーパセリ)がほとんどでしたが、近年は平葉種(イタリアンパセリ)も増えています。太った根を食用とする品種(ルートパセリ)もあります。
 パセリは一度にたくさん食べるものではないので、ベランダでプランターや6号(18cm)以上の鉢で栽培すると良いでしょう。パセリの苗は一年中売られています。
 種からでも簡単に育てられます。春まき(3~4月)、初夏まき(6月)、秋まき(8~9月)ができます。日当たりと風通しの良い、冬に北風の当たらない場所で育てます。
 プランターや鉢に市販の培養土を入れ、株間10cmで4~5粒の点まきをします。好光性種子なので、覆土はごく薄くします。発芽するまで乾燥しないように気を付けます。順次間引きし、本葉4~5枚までに1本立ちにします。追肥は1000倍の液肥を1週間置きに施します。水やりは朝やって、夕方に土の表面が乾く程度にします。
 本葉が15枚以上になったら、下から2~3枚ずつ収穫していきます。株が弱らないように、いつも10枚以上の葉を残すようにします。


ソラマメ(マメ科ソラマメ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 ソラマメは漢字では、さやが空を向いて付くから空豆、さやが蚕に似ているから蚕豆と書きます。
 1980年代に宮城県北部の築館町(現栗原市)に春まき栽培の産地ができるまでは、ソラマメの秋まき栽培の北限は同県南部の村田町とされていました。当時は宮城県以北ではソラマメの流通はなく、エダマメのようにさやごとゆでるものだと思っている人もいました。
 江戸っ子はソラマメを食べないと夏を迎えられません。大相撲が蔵前国技館で行われていた夏場所、秋葉原の旧神田青果市場では房州(千葉県)の初物のソラマメが初日に最高値で取引され、千秋楽に向かって徐々に値下がりしていきました。今は、鹿児島産のソラマメが年内から出回っています。
 ソラマメの豆は空気に触れるとすぐに硬くなるので、さや付きのまま流通しています。収穫した瞬間から鮮度が落ちていきます。キッチンガーデンなら、新鮮取れたてのソラマメを味わうことができます。
 10号(30cm)以上の鉢や大きなプランターに市販の培養土を入れ、日当たりと風通しの良いベランダで育てます。10月から11月上旬が種まき適期です。鉢なら真ん中に、プランターなら株間25cmに2~3粒を、「おはぐろ」を斜め下に2~3cmの深さに押し込みます。本葉2枚までに間引きして1本立てにします。
 追肥は耐寒力をつけるための12月と、生育が盛んになり始める2月に1000倍の液肥を施します。窒素肥料が多過ぎると、茎葉ばかり茂ってさやが付かないことがあります。防寒と保湿のために、株元にわらや腐葉土を敷きます。冬の間は乾燥気味にし、生育が盛んになったら、午前中に水やりします。水のやり過ぎは根を傷めるので、夕方には土の表面が乾く程度にします。
 春に分けつした茎が伸びるので、元気な物を5~6本残し、他は切り除きます。さやが十分膨らんで、上向きだったさやが横から下向きになったら収穫適期です。




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