ベランダでできるキッチンガーデン

パクチー(セリ科コエンドロ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 1983年に農林水産省が告示した「新野菜名称の統一(38品種)」では、コエンドロ、コリアンダー、シャンサイ、中国パセリは「コウサイ(香菜)」に統一されています。時が経過し、今ではタイ名のパクチーの方が一般的です。
 いろいろな名称のあるパクチーは世界各国で愛され、栽培されています。独特の強い香りがするので、日本ではこれほど好き嫌いが分かれている野菜はありません。嫌いな人は読み飛ばし、好きな人はぜひベランダで栽培してください。キッチンの近くに香味野菜があるととても重宝します。
 パクチーは暑さ、寒さに強く、作りやすいハーブです。発芽適温は15度前後で、春まきと秋まきができます。深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、日当たりの良い所で栽培します。
 種は堅い殻に包まれています。そのまままくと発芽が悪くなるので、種を押しつぶして二つに割ってからまきます。条間20cmの筋まきとし、種が重ならないように種まきします。薄く覆土し、軽く鎮圧して、種が土から水分を吸いやすいようにします。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。
 発芽には10~15日かかり、初期生育もゆっくりです。本葉2~3枚になると生育が早くなります。順次間引きして株間を20cmにします。間引き菜も料理に利用できます。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 株が旺盛になってきたら、外側の葉から収穫します。1度に1株から多くの葉を収穫すると衰弱するので、各株から若い葉を少しずつ収穫するようにします。花を咲かせ、種を利用する栽培もあります。
 肉や魚料理の臭い消し、サラダ、おかゆなどに利用します。タイ料理のトムヤムクン(エビ入りの辛酸っぱいスープ)には欠かせません。パクチーの強い香りに閉口していた人も、慣れれば好むようになるかもしれません。


ミョウガ(ショウガ科ショウガ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 「ミョウガを食べ過ぎると物忘れをする」といわれますが、科学的な根拠はなく、そのような成分は含まれていません。東京メトロ丸ノ内線の茗荷谷駅や東西線の早稲田駅の周辺は、かつてはミョウガの産地でした。両駅は優秀な教育機関の最寄り駅となり、これもミョウガと物忘れとは結び付きません。
 ミョウガは半日陰を好みます。ベランダのプランターでも栽培できます。薬味がキッチンの近くにあると重宝します。
 ミョウガには花蕾(からい)を7~8月に収穫する夏ミョウガと、9月に収穫する秋ミョウガがあります。ミョウガは種茎を植えて育てます。種茎は春先にホームセンターなどに並びますが、通信販売や栽培している知人から分けてもらっても良いでしょう。
 植え付けは種茎の芽が動きだす前の1~3月が適期です。深さ20cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、深さ5cmほどの溝を作ります。種茎を横にして20cm間隔に植え付け、軽く覆土します。乾燥を嫌うので敷きわらをし、土の表面が乾かないように十分水やりします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 花蕾が地上に半分くらい出てきたところを収穫します。取り遅れると花が咲いて品質が落ちます。
 株が充実してくる2年目以降は、春先に芽が出る前に黒ビニールやバケツをかぶせて遮光し、ミョウガタケを作ることもできます。
 毎年収穫できますが、4~5年たつと根茎が込み合って、花蕾の出が悪くなります。活力を取り戻すために、6月上旬に15cm間隔に間引きします。思い切って冬の間に植え替えるのも良いです。
 ミョウガは日本特有の香味野菜で、香り成分には食欲増進の効果があります。食欲が減退する夏場でも、ミョウガを薬味にしたそうめんならスルスル食べられます。血行促進の効果もあり、血の巡りが良くなれば物忘れなどしません。


ニラ(ヒガンバナ科ネギ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 韮(ニラ)という漢字を見ると、山梨の韮崎高校や静岡の韮山高校を思い浮かべます。どちらも通称「韮高」です。韮崎高校はサッカー、韮山高校は野球の伝統校です。両校の元気の源はニラレバ炒めではないかと勝手に想像しています。
 両校とも文武両道で生徒はとても勤勉だと思います。ところがニラの別名は懶人草(らいじんそう)で、懶人とは怠け者のことです。ニラは栽培が簡単なので、怠け者でも作れるからです。
 暑さや寒さに強く、ベランダのプランターでも栽培できます。半日陰でも丈夫に育ちます。多年草なので一度種をまけば根が残って毎年収穫できます。種まき適期は3~4月です。深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、10cmの間隔で1カ所に約10粒の点まきをします。薄く覆土し、軽く鎮圧します。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。
 草丈が約10cmになったら、1カ所3~4本に間引きします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。さらに草丈が伸び20~25cmになったら、株元を4~5cm残してはさみで切り取り収穫します。株が充実してくる翌年からは、年に4~5回収穫できます。
 夏から秋にかけては花蕾(からい)が伸びてきて、白いきれいな花を咲かせます。花を楽しんでも良いのですが、開花・結実させると株が弱るので、早めに摘み取った方が良いです。摘み取った花茎は、おひたしなどにすると美味です。
 冬になると地上部は枯れます。枯れ葉は病原菌のすみかにならないように、きれいに刈り取っておきます。根は生きているので、春になると新葉が伸びてきます。3~4年たつと株が弱ってくるので、掘り上げて株分けして植え替えます。
 ニラはギョーザの具、みそ汁の実、卵とじ、おひたし、あえ物などいろいろな料理に使えます。


小松菜(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 「漬け菜」とは一般には漬物に使用する菜っ葉ですが、農学では非結球のアブラナ属の葉菜のことをいいます。野沢菜やチンゲンサイなどがあり、結球するハクサイやキャベツは含みません。
 江戸幕府第8代将軍徳川吉宗が命名したといわれる小松菜は、関東地方で栽培されてきたツケナの一つです。1970年代に世界初の小松菜の交配種「みすぎ」が育成されると、新しい産地が次々にでき、全国の野菜売り場に並ぶようになりました。
 交配種は雑種強勢と両親のいいところ取りによって、生育が旺盛で収量が上がり、病気に強く味も良くなります。現在のツケナの大半は交配種です。日本の野菜の育種は世界のトップクラスです。
 交配種はそろいが良いので、規格通りに出荷する生産者にとっても、同じ価格で販売する流通業者にとっても、大きなメリットがあります。一斉に収穫はしない家庭菜園では、収穫期に幅がある「固定種」の方が良いかもしれません。
 小松菜は暑さや寒さに強く、ほぼ周年栽培ができます。深さ10cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、5cm間隔に筋まきします。小松菜は種が細かく多くまきがちですが、発芽が良いので厚まきすると間引きに手がかかります。薄く覆土をして軽く鎮圧します。発芽まで乾燥させないようにします。
 発芽後、順次間引きして、本葉4~5枚のときに株間を約5cmにします。水やりは朝方にし、夕方に土の表面が乾く程度にします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。本葉4~5枚になった物から収穫し、本葉7~8枚までに終えるようにします。
 水菜、広島菜、芭蕉菜など、小松菜以外のツケナも栽培方法は似ています。子どもの頃のお雑煮やみそ汁に入っていた菜っ葉を思い出して、種まきするのも良いでしょう。




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