ベランダでできるキッチンガーデン

芽キャベツ(アブラナ科アブラナ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 芽キャベツの和名は子持ち甘藍(かんらん)です。子持ちにちなんで、結婚披露宴の料理にも利用されてきました。しかし、スーパーでパック詰めの芽キャベツを買ったことがある人でも、芽キャベツの栽培を見たことはあまりないことでしょう。
 芽キャベツは温暖地で7月に種まきして、12月から翌年の2月まで収穫します。40~60cmに直立した茎から出る葉のそれぞれの付け根に、直径2~3cmの小結球(芽球)を約50~100個付けます。
 芽キャベツは、日当たりの良いベランダであれば鉢で栽培できます。
 4号(12cm)のポリポットに4~5粒ずつ種まきして育苗します。発芽後は順次間引いて1本立ちにし、本葉4~5枚の苗にします。近年はホームセンターで芽キャベツの苗を購入することもできます。
 芽キャベツは株が大きくなるので、10号(30cm)以上の鉢を準備します。鉢に市販の培養土を入れ、真ん中に苗を移植します。乾かないように水やりをし、1週間に1度1000倍の液肥を施します。
 草丈が伸びてきたら90cmくらいの支柱を立てて誘引し、増し土して株が倒れないようにします。
 10月になって結球が始まる前に、黄化した下葉を折り取ります。根元に近い芽球はよく締まらないので、上位部の芽球の充実を図るためにも、早めに取り除きます。
 芽球が膨らんできたら、上部の葉を10枚くらい残し、葉で芽球を圧迫させないために、葉を折り取ります。根元から折ると芽球も取れてしまうので、葉柄は残します。芽球が結球してきたら、下部から順次収穫します。芽球は、お尻に十文字に包丁を入れて、味がよく染み込むようにして、シチューやスープなどの具に利用します。単にゆでて、添え物にもなります。
 芽キャベツは年末には立派な株になります。子孫繁栄を祈って、芽キャベツの鉢をお正月の飾り物として知人に贈ると、喜ばれると思います。


スイスチャード(ヒユ科フダンソウ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 チャードとはフダンソウのことです。アカザ科に分類されてきましたが、DNAが決める新分類ではヒユ科になりました。ヒユ科の野菜にはホウレンソウやビート、オカヒジキなどもあります。
 野菜が主に八百屋で売られていた時代、フダンソウは夏場の葉物として重宝されてきました。生産者と消費者がコールドチェーン(低温流通)でつながった現在は、夏でもホウレンソウや小松菜がスーパーに並んでいます。ホウレンソウや小松菜がいつでも食べられるようになると、フダンソウは泥臭いと嫌われ、ほとんど栽培されなくなりました。
 ところが、20世紀末にカラフルで癖の少ないスイスチャードが日本に導入され、直売所や家庭菜園で人気になりました。葉の軸が赤、白、黄色、それらの中間色にも分かれ、とてもきれいなので、観賞用として鉢植えや花壇の縁取りなどにも利用されています。
 フダンソウは暑さにも寒さにも強いので、漢字では「不断草」と書きます。スイスチャードはベランダでも簡単に栽培できます。
 深さ15cm以上のプランターに市販の培養土を入れ、条間15cmの筋まきにします。種は皮が厚いので、一昼夜水に漬けて十分吸水させてからまくと発芽が早まります。種が隠れる程度に覆土して、軽く鎮圧します。発芽するまで乾燥しないように、たっぷり水やりをします。
 子葉が開き切った頃から、葉と葉が重なり合った場所を間引いていきます。間引いた物は、ベビーリーフとしてサラダの色添えに利用できます。追肥は、1週間に1度、1000倍の液肥を施します。最終的に株間を15cmにします。
 草丈が10cmくらいになった物から順次収穫します。取り遅れると、アクが出て筋っぽくなります。若い葉を摘み取り収穫もできます。
 ホウレンソウと同じように、おひたしやあえ物、炒め物にご利用ください。


オクラ(アオイ科フヨウ属) 

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 英語のオクラの語源は、オクラを意味するアフリカ・ガーナ地域の言葉「ンクルマ」だといわれています。オクラというと山上憶良(やまのうえのおくら)を思い浮かべる人もいると思います。「銀(しろかね)も 金(くがね)も玉も 何せむに まされる宝 子に及(し)かめやも」の詠み人です。オクラには滋養強壮作用があるといわれています。
 アオイ科フヨウ属のオクラは、同科同属のハイビスカスに似た黄色の花を咲かせます。野菜の花の中でオクラの花は人気上位です。オクラは花観賞用としても秋まで長い間楽しめます。開花は早朝から始まり、午後にはしぼみます。
 日当たりの良いベランダでしたら、オクラは鉢栽培もできます。オクラはアフリカ原産で暑さには特に強いですが、寒さには弱いです。発芽適温も生育適温も25~30度なので、種まきは5月中旬以降にします。
 オクラは草丈が1m以上にもなるので、10号(30cm)以上の鉢を用意します。市販の培養土を鉢に入れ、真ん中に4~5粒種まきし、1cmほど覆土し、軽く鎮圧します。オクラの種は表皮が堅く吸水しにくいので、一昼夜水に浸してから種まきすると発芽が早まります。
 子葉が出たらはさみで切って2~3本に、本葉3~4枚で1本立ちにします。草丈が30cm以上になったら、120cmぐらいの支柱を立てて、倒伏を防止します。
 株元に腐葉土やわらを敷き、乾燥を防ぎます。過湿に気を付け、毎日適量の水やりをします。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 開花後3~5日の若いさやをはさみで切って収穫します。取り遅れると、すぐにさやが堅くなってしまうので、小まめに収穫します。収穫したさやの下の葉は、順次はさみで切っていきます。
 オクラ納豆、天ぷらなど、夏の味覚をお楽しみください。


エンサイ(ヒルガオ科サツマイモ属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 エンサイは中国野菜として、1972年の日中国交正常化に伴いパンダと一緒に本土にやって来ました。チンゲンサイやタアサイのように野菜売り場に並ぶことは少ないですが、中華料理店では青菜炒めの食材に使用するところが多いです。
 エンサイは沖縄では古くから真夏の野菜「ウンチェー」として利用されてきました。沖縄から本土へのエンサイやサツマイモの移動は、ゾウムシなどのまん延を防ぐ植物防疫法によって規制されています。
 ゴーヤーやメロンなどのウリ科野菜も移動を規制されていましたが、1993年にウリミバエを根絶したので規制は解かれました。人工的に不妊化した害虫を大量に放し、害虫の繁殖を妨げる不妊虫放飼という方法です。ゾウムシなどもこの方法で根絶しようとしています。
 エンサイは別名がクウシンサイ(空芯菜)やアサガオナ(朝顔菜)というように茎が空洞で、秋にはアサガオに似た白い花を付けます。
 日当たりの良いベランダなら、プランターでも簡単に栽培できます。
 発芽適温20~30度、生育適温25~30度の高温性植物なので、4月下旬以降に種まきします。生育旺盛で水分を多く必要とするので、プランターは深さ20cm以上の物を用意します。プランターに市販の培養土を入れ、20cm間隔に3~4粒ずつ点まきして、1cm程度の覆土をします。種はアサガオのように硬実なので、一昼夜水に漬けてからまくと発芽が早まります。
 本葉2枚の頃、1カ所1株に間引き、1週間置きに1000倍の液肥を施します。多湿を好むので、水やりは毎日たっぷりし、培養土がいつも湿っているようにします。
 主茎が20cmほどになったら、摘芯して側枝を伸ばします。伸びてくる側枝を15~20cmで順次収穫していきます。
 エンサイはカルシウム、カリウム、鉄分に富む夏野菜です。炒め物、おひたし、あえ物などにして、独特の食感をお楽しみください。


ナス(ナス科ナス属)

土壌医 藤巻久志/JA広報通信より


 野菜の品種は交配種が主流となり、固定種の地方品種はどんどん少なくなっています。そんな中、ナスはいまだに地方独特の品種が栽培されています。大長、中長、小丸など形の違いだけでなく、果皮が白や緑のナスもあります。
 家庭菜園では好きな品種の種を取り寄せて栽培するのが一番ですが、ナスは育苗が難しいです。インド原産のナスの発芽適温は25~30度、生育適温は20~30度です。種まき・育苗期の2~4月に適温を長期間確保するには、加温施設が必要です。
 ベランダ菜園では5月に苗を購入して栽培するのが一般的です。以前は中長ナスと米ナスくらいでしたが、今は数多くの品種の苗が店頭に並んでいます。
 日当たりと風通しの良いベランダで、10号(30cm)以上の鉢に市販の培養土を入れます。深植えにならないように苗を植え、倒れないように仮支柱を立てて軽くひもで縛っておきます。追肥は1週間に1度、1000倍の液肥を施します。
 活着すると1番花が咲き始め、側枝が伸びてきます。主枝と1番花のすぐ下から出てくる側枝2本を残して、他はかき取ります。仮支柱を50~60cmの3本の支柱に替え、各枝を誘引します。
 ナスは水で太る野菜です。水切れさせないように毎日たっぷり水やりし、乾燥防止のために株元にわらやピートモスなどを敷いておきます。
 開花後、最初の頃は25~30日、最盛期は15日以内で収穫できるので、はさみで切り取ります。
 7月中旬ころ、暑さで株が弱ってきたら、思い切って枝の半分くらいを切り詰めます。主枝と2本の側枝に2枚以上の葉が残るようにします。しばらくすると元気な新芽が伸びてきて、9月いっぱい収穫できます。数百円の苗で、その数倍の価値のある栽培が楽しめます。
 取りたて新鮮なナスを、和食なら漬物や天ぷらに、イタリアンならパスタやピザに、中華ならマーボーなどにご利用ください。




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