私の食育日記

食品ロス

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 先日、オーストラリアのシドニーに全てが無料のスーパーがオープンしたというニュースがありました。このスーパーに並ぶのは、大手スーパーなどで賞味期限切れ直前のため廃棄される予定だった商品です。これはまだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスを減らすための取り組みでもあります。
 日本も食品ロスのとても多い国です。日本の食品の供給量と摂取量は、2014年の調べでは、1日1人当たり約500kcal分供給量が多くなっています。つまり日本人全員の1食分ほどに当たる食品を1日で廃棄してしまっているのです。世界には食べ物が足りずに苦しんでいる人がたくさんいる中で、これだけの食べ物を無駄にしていると思うと心が痛みます。
 この食品廃棄はお店など主に家庭以外から出ているように思われますが、実は日本の食品廃棄の55%が家庭から出ているとされています。その主な原因は「食べ切れない」「賞味期限が切れた」「使い切れずに腐らせてしまった」などが挙げられます。この原因を見ていくと、食品の廃棄を減らすには、計画的な献立作り、そして買い物が重要になってくることが分かります。家庭での食品の廃棄を減らす工夫を学ぶことも大切な食育です。小さいうちから一緒に買い物に行き、買った物を無駄なく食べ尽くす練習も親子で楽しみながらできればと思います。
 離乳食から始まって子どもの食事をあれこれ悩みながら作っていると、気が付くと、この料理なら食べてくれるから、これは嫌いだから子どもには別の物を買うなど、食事を子どもに食べてもらっているという感覚になってしまうことがあります。しかしながら、子どもに学んでほしいのは、十分に食べることができるありがたさです。その食への感謝の気持ちが、将来の食品ロスを減らすことへとつながっていくと信じています。

食卓から始まる食料自給率の向上

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 わが国の食料自給率は約40%です。食料自給率とは、日本で食べられている食べ物(カロリー計算)のうち、どのくらいの割合を国産で賄っているかを示した数値です。40%ということは、私たちの生きるエネルギーの半分以上を海外に頼っています。他国では、フランスが129%、英国が72%、日本同様平野部の少ないスイスでさえ57%と、半分以上は自国で賄っています。
 食料自給率が低いということは、地球全体の気象の変化や、世界情勢によって、私たちの食卓が影響を受けやすいということです。何らかの原因で輸入が今のようにできなくなれば、日本は一気に食料不足になってしまうのです。また、食料自給率が上がるということは、日本の農業がより元気になっていくことにもつながります。
 ではなぜここまで食料自給率が下がってしまったのか。日本も1965年ころまで食料自給率は70%以上でした。その後、下がり続けた原因に、食生活の変化が挙げられます。お米が中心だった食事から、パンや麺類を主食にすることが増えました。その原料となる小麦粉はほとんどを輸入に頼っています。
 お米を食べる量が減り、その分お肉や油物のおかずが増えたことも原因に挙げられます。つまり食料自給率の低下は私たちの食卓から始まっているのです。ならば食料自給率の向上も私たちの食卓から始めなければなりません。
 そこで大切なのが幼少期の食事です。おふくろの味という言葉があるように、私たちは小さい頃に食べた味はいくつになってもおいしく、安心感を得ることができます。なので、幼児期にだしの香り、みそ汁にお魚などお米中心の和食になじむことで大人になってからも和食を好むようになっていきます。子どもたちが大人になった頃も食卓には和食中心のメニューが並び、食料自給率も向上していることを願います。

かむことの大切さ

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 子どもがいると「よくかんで食べてね」という言葉を口にしたことがあるかと思います。最近は軟らかい食べ物が好まれ、かむ回数もどんどん減っているそうです。現代人が1回の食事でかむ回数は平均約620回、これは戦前の人々に比べると約半分に減っているそうです。しかし、かむことは体に良いことがたくさんあります。
 乳幼児期によくかんで食べることは、顎や体が丈夫になるだけでなく、脳の発達も促します。咀嚼(そしゃく)運動は脳を刺激して、脳細胞の代謝を活発にして脳の血液循環を良くします。つまりよくかむことで、幼児期に必要な栄養素をより多く脳に送ることができるのです。脳神経系などから発達する子どもの発育には、かむことはとても重要です。
 もう一つ、よくかむことで唾液の分泌が良くなります。唾液は消化を助ける役割がある他、発がん性物質の働きを弱める効果があるともいわれています。さらに、唾液の分泌によって味がよく分かるようになります。私たちの舌の表面にある味蕾(みらい)は、唾液で湿ることで味覚を敏感に感じることができます。薄味を食べてほしい幼児期こそ、よくかんで唾液の分泌を促すことで薄味でも満たされることができるのです。
 よくかむといっても、子どもの歯は大人より弱く、かむことにも時間がかかります。そんな中で周りの大人がそそくさと食べてしまっては、子どももできるだけ早く食べようと、かむことを減らす習慣が付いてしまいます。まずは、周りの大人が意識的にゆっくりと食べ、よくかむことで、子どもも安心して大人と同じようによくかむようになります。大人にとっても咀嚼は脳を活性化し、老化やぼけ防止につながります。子どものかむ回数が気になったら、まずは家族みんなで意識的にゆっくり食べてみると良いかもしれません。子どもが飽きないように楽しい会話も忘れずに。

メープルシロップ

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 わが家では調味料の一つにメープルシロップを活用しています。メープルシロップとはカエデの樹液を煮詰めて作られる物で、まさに天然の甘味料です。天然といっても甘味は強いので、大人のようにパンケーキにたっぷり掛けて食べるのは子どもには甘過ぎますが、砂糖のように料理の甘味付けとしては栄養価も高くお薦めです。
 できるだけ素材そのものの味を味わってほしいので薄味が良いと思いますが、幼児食の頃からはいろいろな本物の味を体験し、味のバラエティーを増やしていくことも大切です。そこで、甘味を付けるときも、砂糖だけでなく、蜂蜜やメープルシロップを使っています。メープルシロップは、蜂蜜のように1歳以降でないと食べられない理由とされる菌もなく、アレルギーも起こしにくいので、砂糖の代わりに使うにはとっても便利です。また、メープルシロップは砂糖や蜂蜜に比べてカロリーは低く、ミネラルが多く含まれています。特に不足しがちなカルシウムや体内のバランスを調整するカリウムが多く含まれています。
 そんなメープルシロップも甘い甘味料、使い過ぎには注意が必要です。子どもは甘い物が大好きです。ですが、甘い物ばかり食べていると甘い物が癖になり、本来の野菜の甘味やその他の味が感じにくくなったり、甘くないと食べなくなったりしてしまう可能性があります。あくまで調味料として味付けのアクセントに使う程度が良いと思います。煮物やあえ物にほんの少しメープルシロップを加えるとこくがある甘さになり、子どもも大好きです。
 幼児期の食事には、栄養を取るということの他に、味覚を鍛えるという役割もあります。
 同じ甘さでも、いろいろな甘さを食べることで味覚の幅は広がっていきます。好きだからと同じ味ばかりに頼らず、ぜひいろいろな味を体験してみてほしいと思います。

子どもと鉄分

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 私事ですが、今2人目を妊娠中です。
 妊娠中、悩まされるのは貧血です。鉄分不足というと成人女性のイメージが強いですが、実は乳幼児の鉄分不足も多いそうです。
 鉄分は酸素を体全体に送るという重要な役割をしています。神経伝達物質の合成にも関わっているため、脳の成長が著しい幼い時期にはとても大切な栄養素です。幼い子どもでも、鉄分不足になると顔色が悪くなり、注意力が散漫になる、疲れやすいなどの症状が現れます。
 授乳中の産後6カ月くらいまでは母乳からの鉄分で十分ですが、離乳食が始まる頃からは少しずつ鉄分を意識した食事が必要になります。この頃、母乳の代わりにたくさんの牛乳を与えてしまうことによる鉄分不足が多く見られます。牛乳は、おなかは満たしてくれますが、あまり鉄分が含まれておらず吸収も良くありません。鉄分を摂取できるよう離乳食を進めていくことが必要です。
 幼児期に必要とされている鉄分は1日約4~5mg。成人女性が12mgです。鉄分を多く含む食品はレバー、肉類、貝類、赤身の魚、ヒジキ、卵、大豆などが挙げられます。約1mgの鉄分を取るには、卵なら1個、豆腐なら100gです。4mgも摂取するのは難しいことに感じますが、まずは幼児食には毎食、肉、魚、卵、大豆製品などタンパク質を取り入れるように心掛けましょう。鉄分はビタミンCと一緒に摂取すると吸収率を高めてくれます。果物や野菜と併せて摂取したいです。
 2歳の息子は食べ物のえり好みが激しくなってきた時期。レバーを食べてもらうなどは至難の業です。そこで、お肉やお魚は赤身の物を意識的に使い、きな粉や高野豆腐などの大豆製品を小まめに利用し、朝のヨーグルトにはフルーツと一緒にプルーンや全粒粉シリアルを混ぜています。意識しないと不足しがちな鉄分。幼い頃から意識的に食事に取り入れたいです。

朝食が大切な理由

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 食育で必ず出てくるのが「朝食をしっかり食べましょう」です。朝食をまったく食べないだけでなく、お菓子や果物だけ食べることや、サプリメントだけで済ませてしまうことも朝食の欠食といえます。朝食を食べないと太りやすくなる、集中力が低下する、朝食を食べる児童と食べない子では成績に差が出るなど、いろいろといわれていますが、なぜそこまで朝食が大切なのでしょうか。
 人間の体をコントロールしている脳は他の臓器とは違い、糖質であるグルコースだけをエネルギーとして利用しています。この糖質、食べ物から取った分は食後4時間ほどでほぼ吸収されます。そのため、食後4時間を過ぎると脳は、糖分を一時的に蓄えている肝臓からグルコースを作り出し脳へ供給します。しかし、肝臓が貯蔵できるのはわずか半日分ほど。そのため、朝食を取らないと前の晩の夕食から昼食まで、夕食からの糖質と肝臓からの供給を合わせても補給し続けられなくなり、血糖値が低下し、脳の働きが悪くなってしまうのです。脳が発達し、さまざまな刺激を受けて成長している幼い頃ほど、朝食を取らないことでの影響が大きくなると予想できます。朝食を取らないと朝の体温も上がらず、体調を崩しやすくなることも分かっています。
 朝食をしっかり食べるためには、まずは夕食をできるだけ早い時間に食べることです。朝食の時間には空腹でいられるよう、あまり遅い時間に暴食しないようにしましょう。忙しい中、無理してたくさんの夕食を作るよりは、夕食は簡単になってもできる限り早い時間に済ませ、早く寝て、次の朝食をしっかり食べた方が体への負担も少なく済みます。また、周りの大人もしっかりと朝食を食べることも大切です。親が朝食を食べない子どもほど、朝食をあまり食べない子が多い傾向にあります。小さな頃からしっかりと朝食を食べる習慣を身に付けてほしいです。

幼児期からの食育

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 食を通して感謝の気持ちを養うことや、マナー、コミュニケーション能力を学ぶことも食育の一つです。私たちは1日3回食事をします。年間にすると1095回。1000回以上の時間を教育や家族のだんらんなど、有効活用していかないのはもったいないことです。
 なかでも食への感謝の気持ちは幼児期から学んでほしいことです。料理をしてくれた人、食材を育ててくれた人、そして十分に食べられるという幸せへの感謝です。その表現にあいさつがあります。「いただきます」とは位の高い人から何かをもらったときに、頭上に掲げていただく、ささげ持つと同じ意味を持った言葉です。また「ごちそうさま」とは、「馳走(ちそう)」=あちこち走り回るという言葉から、走り回って食材を用意してくれた人へ、「ご」と「さま」を付けて感謝を伝えることから生まれた言葉だそうです。感謝の気持ちを理解し、そこから残さず食べることへもつながってほしいです。
 そしてもう一つが食べるときの姿勢です。背筋を伸ばし、足は床か椅子の足掛けにしっかり着くようにし、テーブルとの高さや距離も調整が必要です。姿勢が悪いとかみ方が悪くなり、胃腸に負担をかけてしまいます。どんなに遅くとも小学生ぐらいまでには正しい姿勢を習慣付けないと体に染み付き、直すことが難しくなるそうです。
 正しい姿勢のためには、テレビなどを見ないということも大切です。時々、騒がないようにと幼い子どもに動画を見せながら食事を与えている光景を見ますが、3歳ぐらいまでの食事は親子のスキンシップが大切とされ、少なくとも8歳くらいまではテレビを消して食事をした方が良いといわれています。
 幼い頃に学んだ食習慣を子どもは自然と身に付け、受け入れていきます。小さい頃だからこそ、食事のマナーに気を使い、家族のコミュニケーションの場として大切にしていけたらと思います。

お肉の種類

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 子どもには栄養バランスの良い食事をと思っても、糖質、タンパク質、脂質、ビタミン類、ミネラル、どれもこれも足りているのかと考えるのは大変なことです。だからこそ私が意識しているのは、できるだけ同じメニュー、食材にならないように気を付けることです。今日がお魚なら明日はお肉。今日が豚肉なら次は鶏肉。今日がトマトサラダなら明日はニンジンサラダ。すると結果的にさまざまな栄養が取れています。
 例えば、お肉の種類でも栄養の特徴は違います。牛肉は体をつくり、脳神経の働きが活発になる成長期に必要なタンパク質が含まれます。その上、他の肉類に比べて鉄分が多く含まれます。意外と鉄不足になりがちな幼児期、吸収性のいいお肉からの鉄分は大切です。ロースやばら肉は脂肪が多いですが、ヒレは少なくタンパク質が多く含まれ、赤身の方が鉄分も多く含まれます。
 豚肉も良質なタンパク質源ですが、一番の特徴はビタミンB1が多く含まれていることです。ビタミンB1は発育や神経の機能維持に重要な役割を果たすため、精神を安定させ、集中力を高めるのにも必要な栄養といわれています。
 鶏肉は、必須アミノ酸を含む良質なタンパク質で、脂肪が少ないことも特徴です。また、皮膚や粘膜を健康に保ち、骨の発育を助け、風邪の予防にも効果があるとされるビタミンAの含有量が多いのも特徴です。ささ身は高タンパク低エネルギーなので、離乳食からお勧めです。
 このように、食材によって栄養もさまざま。日々の食事で食材の種類を替えていくだけで、結果的に多くの栄養を取ることができます。毎食、できるだけ多くの食材を使ってバランス良くと苦労するのではなく、1週間を振り返れば、なかなかいろいろな物を食べられたなと思える気軽さから、健康的食生活を目指していただければと思います。

子どもの偏食の改善

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 子どもは好きな食べ物が偏りがちです。野菜は一種類しか食べないと悩むお母さんの話をよく聞きます。
 そもそも多くの物を食べたことのない幼児期は、おいしかったという記憶が強く残っていて、他の物が嫌いというよりは、おいしかったからそれが食べたいという意思の方が強くなってしまいます。なので、食わず嫌いや、たまたま食べた味が苦手だったということの方が多いように思います。私の息子も、揚げ物をずっと嫌がって食べませんでしたが、お友達が食べているのを見て真似して食べたら、おいしい! と言っていましたし、サラダでカブを食べて以来食べなかったのに、みそ汁にしたらカブが大好きになりました。食の経験の少ない幼児期、好みも変わりますし、食べなかった物を急に食べたり、これまで食べていた物を急に食べなくなったりしてもおかしくないのです。
 そこで大切なのが、周りの大人がその子どもの好き嫌いに左右されないことです。食べないから出さない、食べるからそればかり、という食事になってしまうと子どもがいろいろな味を経験していく大切な機会を奪ってしまうことになります。子どもが食べないと不安になり、ついつい子どもにだけ別メニューを与えてしまいがちですが、できるだけみんなが同じ食事をし、おいしいねと会話しながら食べる、時には、大人が自分の苦手な物を食べている姿を見せる、そのことで子どもは、食べたい物を食べることでなく、その日いただける物を食べるのが食事ということを学んでいきます。
 もちろん、好き嫌いは出てきますが、それは大人も同じ。そこで無理には食べさせることはせず、新たな機会に違う形で出してみると良いそうです。親としては食べてくれない物を作るのはつらいことですが、これが食育と思ってめげずに続けていきたいです。

お米好き

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 わが息子はとにかくお米が大好き。「何が食べたい?」と聞くと、しらすご飯、おにぎりなど返答はお米です。うどん屋さんで食事をしても「ご飯は?」と言って2歳児にしてうどんとおにぎりを食べます。日本人としてお米好きは誇らしく思いますが、母としては、もっと野菜を食べた方がいいのでは、お肉をあまり食べていないのではと心配になり、おかずを強く薦めてしまいます。
 しかし、かつて一汁三菜の食事が一般的だった日本では、1日の摂取カロリーの多くをお米から取っていました。1960年代ごろは摂取エネルギーの半分がお米からでした。これでは少し炭水化物が多くなってしまいますが、その後、貧しい時代を脱して肉などの欧米風のメニューも食卓に上り始めた1970年代ごろが日本人にとっては最もバランスの取れた食事だったとされています。
 このころ、摂取エネルギーのうちの3~4割をお米から取っていました。その後、お米の摂取量は年々減り、現代のお米からの摂取エネルギーは約2割。パンやパスタなど、小麦粉を使ったメニューが増えたためでもありますが、なによりお肉や油物の摂取が大幅に増えたことが理由です。これは食が豊かになってきた証拠ではありますが、過剰摂取は栄養のバランスを崩し、生活習慣病へと結び付いてしまいます。生活習慣病が年々増え続ける様子を見ると、食が豊かなことがイコール健康的な食事とは言い難く、あらためて昔の食生活を見直すことも大切に思えてきます。
 エネルギー摂取の3~4割をお米からと考えると、息子の好みはなかなかバランスの取れた食事内容に見えてきます。飽食時代であることを認識して、大好きなご飯のお供に、お魚、野菜、お肉など幅広く好きになってくれるよう献立を工夫していけたらと思います。

サツマイモ

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 サツマイモは2歳児を持つ母親にとって欠かせない野菜です。まだまだ甘いおやつは食べられないけれど、走り回ってエネルギーの消費が激しい息子にとっても、サツマイモが貴重なおやつです。干し芋やふかし芋は息子も大好き。もちろん煮物やサラダ、さつまいもご飯、さつまいもパンなど、食事にもたびたび登場します。お菓子以上に子どもが喜ぶ野菜、こんな助かる存在はなかなかいません。ママ友の間で、秋になったときに「やっとサツマイモの季節だね、助かるね」そんな会話が出るほどです。
 サツマイモは1600年前後に日本に伝来したとされ、その後お米が不作だったときの飢餓の救荒食として注目され栽培されていきます。サツマイモの主成分は水分66%、炭水化物31%で、炭水化物は主にでんぷんですが、スクロースなどの糖類もわずかに含まれているため、他の芋類よりも甘味が強くなっています。また、他の芋類に比べてビタミンCを多く含みます。さらにビタミンCは加熱に弱い栄養素ですが、サツマイモのビタミンCはでんぷんに保護されているため加熱しても失われにくいという特徴があります。また成長や視覚、皮膚や粘膜を正常に保つ働きをするのに欠かせないカロテンが多く含まれています。他にもビタミンEや食物繊維も豊富なので女性にもうれしい野菜です。
 そんなサツマイモは、お塩やおしょうゆとも相性が良く万能な存在ですが、サツマイモ本来の甘さを生かすには、約70度の低温で長時間加熱すると、糖化する酵素がよく働いてより甘味が出ます。石焼き芋の甘さは低温でじっくり加熱することで得られます。
 最近ではいろいろな品種のサツマイモが売られていて、息子と味比べするのも楽しい時間です。サツマイモ大好きな息子を連れてお芋のテーマパークにも行きました。今年は芋掘り体験にも連れて行く予定です。大好きなものから、自然と食育へとつながっていくのが理想です。

梅干し

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 2歳の息子の好きな食べ物の一つに梅干しがあります。まだまだ酸っぱいものは苦手だろうと思いつつ、よく見掛ける、初めて梅干しを食べてすごい顔をする子ども動画を撮ろう! と1歳頃に少し与えてみたら、まさかのおいしい! と言われ、カメラを抱えていた旦那も拍子抜けをしていました。それ以来、梅干しご飯は息子の大好きなメニューです。
 梅干しはなんとはるか昔、平安時代から食べられていたといわれています。梅は果実の中でも特に有機酸が多く含まれています。主な有機酸はクエン酸で、他にリンゴ酸なども含まれています。クエン酸は疲労回復物質として知られていますが、疲労のもととなる乳酸を分解する働きをします。またクエン酸は体内でエネルギーを作る回路でも重要な役割をするため、新陳代謝を高めます。一日中走り回っている幼児期にはぴったりの栄養素です。
 梅干しの香り成分でもあるベンズアルデヒドは、酸化されると強い抗菌作用を持ちます。そこに塩の殺菌作用も加わって、梅干しはお弁当やおにぎりの腐敗防止としても重宝されてきました。過去には戦時中に、傷の消毒薬として使われていたこともあるそうです。
 このように長い歴史で私たちの身近にあった梅干しですが、幼児に与えるには少し塩分が多いという難点はあります。幼児期の1日の塩分摂取量の目安はたったの3g未満です。小さじ1杯が5gなことと比較すると、食塩は控えめにしなければならないことが分かります。そこでわが家も、塩分濃度が低めで、うま味調味料無添加の梅干しを探し、1日1粒を約束にして食べています。その分賞味期限は短いですが、定期的に届く農家の方からの梅干しはわが家の楽しみになっています。
 いろいろな食材と上手に付き合って、それぞれの食材のいいところを生かせるような食事作りを目指していきたいです。

脳のエネルギー糖質

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 子どもの成長はとにかく早い。2歳の息子も気が付けばいろいろなことを話せるようになりました。子どもを見ていると人間の脳の成長スピードに驚かされます。実際、この乳幼児期は全体の消費エネルギーのうちの半分くらいを脳で消費しているといわれています。20%程度とされる大人と比較してもいかに子どもが脳を活発に使っているかが分かります。そんな脳のために必要なエネルギーが糖質です。
 三大栄養素と呼ばれる糖質、脂質、タンパク質の中で、唯一脳の活動エネルギーとなることができるのが糖質です。糖質は、ブドウ糖や果糖など、一つの分子から成る単糖類、砂糖として使われているショ糖などのように、いくつかの単糖類が結び付いてできているオリゴ糖、そしてでんぷんのようにたくさんの糖が結び付いている多糖類とに分けられます。ショ糖はブドウ糖と果糖が結び付いたもので、でんぷんはブドウ糖がたくさん結合したものです。
 この中で脳のエネルギー源となるのがブドウ糖です。このブドウ糖をしっかり摂取するために活躍するのが、ご飯やパンなどでんぷんを多く含む主食です。その中でも、お米は精白米中の約75%がでんぷんです。お米は脳が活発な子どもにとっても最高の食品なのです。そんなわけで息子にはお米が大好きな子になってほしいと願っています。
 ちなみに果物に多く含まれる果糖、こちらはショ糖やでんぷんに比べて甘さを強く感じる種類の糖類です。子どもにとって果物が最大のデザートになるのもうなずけます。果糖は冷やした方がより甘味を感じることも分かっています。冷やした果物は子どもにとって十分に甘いものですね。
 もちろん、成長していくためには栄養素をバランス良く取ることが一番大切です。白いご飯に一汁三菜のおかず。やはり日本食って素晴らしいといつも感じています。

麺類

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 子どもたちが大好きなのが麺類です。毎日3回も食事の支度をする母親にとっても麺類は助かる存在です。
 麺類といってもさまざまな種類があります。まず、多くの子どもが最初に口にするのはうどんです。
 うどんは小麦粉に食塩水を加えてこね、生地を線状に細長く成形したものです。他にも、うどんより細い冷や麦、さらに細く、油を塗って引き延ばしたそうめんがあります。また、ラーメンの中華麺は小麦粉にアルカリ性の食塩水であるかん水を混ぜたものです。かん水を使うことで弾力が強くなりこしが増すとされています。
 スパゲティもこれらと同じ小麦粉から作られています。スパゲティは小麦粉の中でもデュラム小麦を粗くひいたデュラムセモリナを使用したものです。これは他の小麦粉と比べて伸展性のあるグルテン形成をしないため、スパゲティならではの弾力のある麺となります。 このように同じ小麦粉と水分からできている麺類でも、使われる小麦粉や水の種類で違った味わいになります。他にもそば粉を使ったそばや、米粉を使ったビーフン、でんぷんを使った春雨などがあります。
 こうやって見ていくと息子の大好きなうどんが最もシンプルな材料です。そのためうどんは、家でも簡単に作ることができます。小麦粉に食塩と水を入れてこね、まとまってきたらビニール袋に入れて、足で踏みながらよくこねる。耳たぶくらいになったら生地を寝かせて、後は打ち粉をして延ばして切ってゆでる。 私も小さい頃、うどん作りをしましたが、踏む作業が楽しくて大好きだったのを覚えています。わが家では、麺つゆも、しょうゆ、みりん、酒、かつお節、昆布で簡単に手作りしています。自分で作り自分で食べるというのは立派な食育。うどん作りで、楽しみながらおうちで食育の授業というのもいいですね。

おいしさの要因

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 子育てをしていると食に関する悩みが次々と出てきます。好き嫌いや食べる量など悩みはさまざまです。しかし、そんなときは、大切なのは食べることを好きになってもらうこと、細かいことは気にし過ぎないようにしようと自分に言い聞かせています。1日3回もある食事。まずは食事が好きで、おいしいということを幸せに感じられる子になってほしいと思います。
 おいしさとは単にその食べ物が持っている特性ではありません。同じ物を食べてもおいしいと感じる人もいればそうでない人もいるように主観的なものです。おいしさには、その食物が持つ特性、その人が持つ特性、そして食べる環境の特性の三つが影響しているとされています。
 食物の特性とは、味や香り、食感といったその料理が持つものです。これは好みに合わせて食材や調理法を選ぶことでおいしく仕上げることができます。
 次に人が持つ特性とは、その人が空腹であるのか、精神的に安定しているのかなど食べるときの状態です。空腹である方がおいしく感じますし、緊張した状態ではおいしさを感じにくくなります。食事の時間を規則正しくして、食べるときには程よく空腹になるよう配慮してあげる必要があります。
 最後の環境の特性とは食事をする場所の気候や明るさ、食習慣などのことです。暑い夏に冷たいそうめんをおいしく感じたり、雰囲気のあるお店やきれいな食器によっておいしいと感じるのもこの環境の特性です。子どもの食事も遊びながら口に入れるのではなく席に着いて、テーブルの上も整えて、誰かと一緒に楽しく食事をすることでおいしさをより感じることができます。
 このおいしさに影響する三つの要素を意識することで、普段の食事もよりおいしいと感じてもらうことができるかもしれません。そして、食事の時間が大好きになってもらえたらうれしいです。


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