私の食育日記

好き嫌いの対処法

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 6歳になる息子は、好き嫌いが増えてきました。実は幼児食から卒業して大人と同じ食事ができるようになるこの時期は、好き嫌いが出やすい時期です。
 子どもの好き嫌いの理由はさまざまです。子どもは大人より苦味を感じやすく、歯も弱いので硬い物が苦手です。また、この年頃は、好きな物への執着が強くなり、好きなお菓子、好きなメニューばかりを食べたがることも原因の一つです。そのため、子どもが嫌いと言って食べない物の中には、実は、食わず嫌いなだけの物が多くあります。
 そこでわが家では、必ず一口は食べるというお約束があります。無理に食べさせることで食事を嫌いにはなってほしくない。でも食べずに嫌いとは判断しないでほしい。そこで、一口食べてそれでも食べられなさそうなら、食べなくてよいというルールです。その一口を食べさせるのも最初は大変でしたが、今は苦手な物でも一口食べれば好きなメニューをお代わりできるというモチベーションから、頑張って挑戦してくれます。また、嫌がっていたのに、一口食べた後、「思ったよりおいしかった」と言って完食してくれることも増えてきました。
 もう一つ意識していることが、一緒にお料理をすることです。自分で作った物というだけで、一口は食べてみようかなという気持ちになってくれます。とはいっても、子どもたちと食事を作ると倍の時間がかかるので、毎日は大変。時間がないときは、みそ汁にみそを入れるだけ、一つの野菜を切るだけにしています。途中ちょっとみその味比べとなめてみたり、野菜を塩もみしただけで食べてみたりと味見を加えると、お手伝いを楽しんでくれます。
 実際に一緒に調理してみると、お兄ちゃんはきちょうめんに時間をかけて同じ形に野菜を切り、妹はとにかくいろいろな物を次から次へと切りたがるという、性格も見えてきて親も楽しめます。

絵本と食事

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 子どもたちには、食べること、お料理することを大好きになってもらいたい。そこで活用しているのが絵本です。
 絵本が大好きな子どもたち。私の趣味でたくさんの食べ物に関する絵本があります。娘がお豆を食べ始めたときは、お豆が出てくる絵本を読み聞かせてからお豆デビュー。娘は今でも、お豆マンと呼んで、豆類が大好きです。果物に関する絵本や、野菜に関する絵本、たくさんありますが、食べる前に読めば「わあ、絵本に出てきたやつだ」と喜んで食べ始めます。そして、少し大きくなった今は、一緒にお料理する前に、関連の絵本を読むことにしています。
 先日は『ぐりとぐら』(福音館書店)という絵本を読んでカステラ作りに挑戦しました。まず、キッチンへは行かず、絵本を読み聞かせます。そして、「作ってみたい人?」と聞くと2人とも大きな声で「はぁい」。では、「作るのには何が必要だったかな?」と聞くと次々回答が。そうやって材料を探すところからやってもらうと、クイズのようで楽しくできます。絵本みたいに一生懸命泡立て器を回し、焼くときは「いい匂いしてきた?」と何度ものぞきに来ていました。出来上がったフライパンのカステラを見て、「動物たちと食べなくちゃ」と、動物のぬいぐるみを並べて食べる子どもたち。絵本の世界に入った気分です。そんなふうにして、絵本の世界に入って、お料理してもらう。そうすると、苦手な物にも挑戦してくれることもあります。サンドイッチが苦手な息子には、サンドイッチの絵本を読む。すると、作ってみたいという気持ちになるようで、自分で作ると自然と食べてくれます。
 他にも、ホットケーキ作りの絵本や、野菜ができるまでの絵本などもあります。食べてもらいたい物の絵本を探してみるのもいいですね。絵本と料理を組み合わせるだけで、楽しいイベントになります。ぜひ挑戦してみてください。

節句

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 わが家は男女の兄妹なので、ひな祭りとこどもの日はそれぞれ自分だけが主役になれる日として、とても楽しみにしています。こどもの日は端午の節句ともいわれ、江戸時代には幕府が公的な祝日として定めた五節句のうちの一つです。節句とは季節の節目を表すもので、五節句には、端午の節句の他、3月3日の「桃の節句」、1月7日の七草を食べて無病息災を願う「人日」、7月7日の芸事の上達を願う節句とされる「七夕」、9月9日の不老長寿を願う「菊の節句」がありました。
 この、季節の節目を表す行事には、その季節らしい食べ物が伝わっています。1月7日は七草粥(ななくさがゆ)を食べますが、春の七草で春の訪れを待ちわびるものです。3月3日の、ピンクと白と緑の菱餅(ひしもち)は、桃と雪解けと新芽を表しているともいわれ、ひなあられと共に春の訪れを表しています。また菱餅の菱形には、ヒシという植物が水面に広がって繁茂することから、繁栄の願いが込められているそうです。5月5日の柏餅(かしわもち)には、新芽が出るまでは葉を落とさない柏の様子から、子孫繁栄が願われ、ちまきには魔よけの意味が込められています。7月7日には、昔は、裁縫の上達を願ってそうめんが食べられていたそうです。そして9月9日の菊の節句は、菊の花の香りの酒を飲みながらお月見をしたそうです。
 このように節句は、季節を感じる食べ物に願いを込めてみんなで食べるというとてもすてきな伝統です。ひな祭りの日、娘は、「ケーキ屋さんに並んでいるよ。みんなはケーキを食べるのかな?」と気にしていましたが、わが家では、ハマグリ、菱餅、ちらしずし、ひなあられで祝い、一つずつ願いを伝えながら食べることにしています。5月5日のこどもの日には、ちまきを息子と一緒に作り、邪気をはらうとされる5色の糸でちまきを縛ることに挑戦。

魅惑のバター

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 2歳の娘が先日、バターをパンに塗って食べることを知りました。まだ油脂の取り過ぎには注意したい幼児期なので、調理に使うだけだったバター。初めて焼きたてパンにバターを塗って食べたときは2歳児なりの衝撃があったようです。
 バターは牛乳に含まれる乳脂肪を凝集して固めた物です。一般的なバターには、重量の1~2%の食塩を添加する有塩バターと、無塩バターがあります。さらにバターを作る工程途中で乳酸菌を添加し発酵させた発酵バターもあります。発酵バターは焼くことで独特のこくと香りを引き出せます。バターも油の一つですが、常温で液体の「油」とは違い、動物性の油脂で、常温で固体の物が多い「脂」に当たります。
 牛の脂の牛脂や、豚の脂のラードなどがバターと同じ「脂」です。この飽和脂肪酸を多く含む脂は、酸化しにくいという特徴を持っていますが、多量摂取は病気のリスクを高めることが分かっています。しかし、約80%が乳脂肪分のバターは、脂の中では消化も良く、幼児にも安心です。粘膜を守るビタミンAが豊富で、ビタミンDやカルシウムなど乳製品ならではの栄養も魅力です。
 過去には国民生活を表現するのに、「バターか大砲か」という言葉が生まれるほど、人々にとって欠かせない存在のバター。この言葉が生まれた頃、バター不足に困り果てたナポレオン3世がバターの代用品を発明した者に懸賞金を出し開発されたのが、今のマーガリンの起源です。マーガリンはさまざまな油を原料にして製造された加工品で、原料の脂肪酸を変化させてバターそっくりの食べ物として作られています。
 歴史を振り返っても分かるように、バターには皆が追い求める魅力があります。そこで、今までよりパンを焼くときに使うバターを控えめにして、たまには、トーストしたパンにバターを塗って食べる幸せな時間を、娘にも味わってもらいたいと思います。


ページ上部へ