私の食育日記

離乳食の踏ん張りどころ

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 生後10カ月になる娘の離乳食が、最も大変な時期に入りました。どんなにベルトをしてもいすから立ち上がる、自分で食べたがるため、食べ物は飛び散り、お皿は飛ばされ、食事後には娘は髪の毛から足元までご飯粒が付いています。ママ友が、食事後は親の方がぐったりしていると話していたことを思い出しました。
 わが娘も目を離すといすに立ち、テーブルの上を荒らし、毎日ハラハラです。しかし、この時期にいすから落ちてしまったら危ないからとローテーブルで食べることに変更した友人が、その子は3歳になった今でもいすに座ることを嫌がり、親の膝の上に座ったり、動き回ってしまうと話していました。それを思うと、今は親の踏ん張りどころ。一度座ったら私が離れることがないように準備を整えて、上の子にも協力してもらい、付きっきりで食事をしています。立ち上がるたびに、「ご飯のときは座ろうね」と声を掛けて座らせる、この作業を1回の食事に10回以上行っていますが、今は初めての食事のお勉強。この繰り返しで学んでくれると信じています。
 もう一つ大変なのが手づかみ食べ。まだ上手に食べられないため荒らし放題ですが、この時期の手づかみ食べは脳の発達に良いといわれています。なので、ここも踏ん張りどころ。親が口に運んでしまえば汚れずに楽ですが、できれば子どもが手で食べられるメニューを一つは用意してあげましょう。テーブル周りは汚されてもいいようにレジャーシートを敷いています。そしてどんなにぐちゃぐちゃにしても食べる気があるときは見守り、遊び始めたら終わりにすると決めています。
 毎食が本当に大変な時期ですが、これを乗り切れば子どもの成長を感じられるはず。また、この時期はまねっこが上手なとき。親が向かい合って座り、一緒に食べてよくかむのを見せる、それだけで確実に学んでくれているはずです。

美しく箸を使えるように

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 日本人の食事方法といえば箸での食事です。箸をきれいに使って食べることは和食の美しさの一つのように思います。しかし、最近では小学生の8割近くが正しく箸が持てていないといわれています。大人でさえ、箸を正しく持てない人が増えてきているようです。和食がユネスコ無形文化遺産の今、箸の使い方も大切にしていきたいです。
 3歳になる息子もただ今箸の練習中です。最初はうまく使えず思うように食べられないため、箸を使うことを嫌がる時期もあります。それでも、食卓には必ず箸を出すようにし、関心を持ったら懲りずに練習してもらう、その繰り返しが大事だそうです。遅くとも小学校に入ったら、正しい箸の持ち方ができるように練習する方が良いそうです。先延ばしにしてしまうほど大人になってからも正しい箸の持ち方ができなくなってしまいます。また、箸を使うようになったら必ず家庭でも箸置きを使うように心掛けましょう。箸置きを使わないと「渡し箸」という茶わんなどの中央に橋を架けるように箸を置く、やってはいけない箸使いになってしまいます。
 箸の使い方には他にもやってはいけないことがあります。料理に刺して使う「刺し箸」。料理をたくさんつかみ、箸で口の中に押し込む「押し込み箸」。箸の先をなめる「ねぶり箸」。箸を使って器を引き寄せる「寄せ箸」。箸をあちこち動かしてどの料理か迷う「迷い箸」。汁をたらしながら料理を取る「涙箸」。おかずばかりを食べて間にご飯を食べない「移り箸」などです。
 たくさんのマナーがあって毎日の食卓で気にするのは大変なことに思えますが、毎日あるからこそ無理せず少しずつ身に付けていくことができます。家での箸のマナーは、そのまま外でのマナーとなっていきます。幼い時期から家庭で、美しく箸を使うことを学んでいってほしいものです。

冷凍保存を上手に活用

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 まとめ買いや、食材を使い切るために多く利用されるのが冷凍保存です。食べるのは少量でありながら、いろいろな物を食べてほしい離乳食にとっても、冷凍保存は強い味方です。冷凍保存は、味や栄養を保持しやすい保存方法です。しかしながら、冷凍中まったく劣化をしないわけではありません。特に、市販の冷凍食品のように食品に合わせてマイナス30度ほどで急速冷凍している場合と違い、庫内の温度がマイナス18度からマイナス20度の家庭用冷蔵庫での冷凍は、時間のかかる緩慢凍結しかできないため凍結方法の工夫が必要です。
 冷凍によって劣化しにくいのは、糖質、タンパク質、ミネラルです。糖質であるでんぷんを多く含む白飯は、マイナス20度以下では老化は少ないことが分かっています。白飯やパンなどに含まれるでんぷんは0度から5度付近が最も老化しやすいので、冷蔵庫やチルド室では老化を促進してしまいます。保存する場合は必ず冷凍庫を選びましょう。
 冷凍によって変化しやすいのは脂質とビタミンです。冷凍中、脂質は酸化してしまうことが多く、酸化しやすい食品には多価不飽和脂肪酸を含む魚類などが挙げられます。またビタミンの中でもビタミンCは、マイナス18度以上だと保存中の減少が早いことが分かっています。冷凍保存する場合も長期保存し過ぎないよう注意が必要です。
 家庭での冷凍での注意点は、まず、家庭での冷凍に適する食品を選ぶこと。パンやご飯などのでんぷん性の物や、煮豆など味が濃厚で水分の少ない物、スープ、ソース類などが挙げられます。魚や肉は加熱調理してから、野菜はブランチング(加熱処理)してから凍結した方が良いでしょう。凍結するときは、1回の使用量ごとに分けて薄い形に成形し、密閉容器に入れましょう。凍結方法を工夫し長期保存には注意しながら、上手に活用していきたいです。

「まごはやさしい」で栄養バランスを整える

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 一汁三菜が基本の日本食は、タンパク質、炭水化物、脂質のバランスが良い理想的な食事スタイルといえます。この一汁三菜は安土桃山時代に千利休が確立した茶懐石の献立が元となっているともいわれ、長く愛されてきた日本人の食文化です。しかし、最近では食の欧米化が進み、日本人の栄養バランスも崩れてきているといわれています。だからこそあらためて見直してほしい一汁三菜、そしてもう一つ意識してほしいのは「まごはやさしい」です。
 「まごはやさしい」とは、意識的に取り入れたい食材の頭文字を取ったものです。「ま」は豆類。豆類は食物繊維が多く特に大豆は良質なタンパク質源です。「ご」はゴマ。ゴマはミネラルを豊富に含み、必須アミノ酸もバランス良く含まれ、不眠予防にも効果があるといわれています。ぜひすりごまとして取り入れてほしいです。「は」はワカメです。ミネラルを豊富に含み、表面のぬるぬるした成分であるアルギン酸は、体内の余分なナトリウム、コレステロールを排出する作用があるといわれています。「や」は野菜。緑黄色野菜や根菜類などいろいろな種類を食べるよう意識したいです。「さ」は魚。脳を活性化するDHAやEPAが多いイワシやサバ、マグロなどの他、カルシウムが豊富な小魚もお薦めです。「し」はシイタケ(きのこ類)。きのこ類はビタミン、食物繊維が豊富です。「い」は芋類。でんぷん、食物繊維、ビタミン、ミネラルが含まれており、芋の種類によっても異なるので、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモなどバランス良く食べたいです。
 これらはどれも日本らしい食材です。日本食の基本、一汁三菜を「まごはやさしい」を意識した食材で調理すれば、とても栄養バランスの良い食事になります。献立を考えるときに、「まごはやさしい」を思い出していただけたらうれしいです。

離乳食はママからの自立の第一歩 

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 6カ月になる娘の離乳食がスタートしました。離乳食の始まりは、胸に響くものがあります。以前、助産師さんに、「出産はわが子の自立の始まりだよ。おなかの中でママとへその緒でつながれている赤ちゃんにとって、生まれてくるときがママから離れる第一歩。不安と戦いながら一生懸命生まれて、心も成長をするんだよ」とお話をしていただいたことがあります。離乳食も同じように感じます。私からの栄養だけで生きていたわが子が、食べ物から栄養を取り1人で生きていける準備を始める、まさにわが子の自立の一歩です。
 離乳食は食べる練習だけでなく心の成長でもある。そう思うと、ただスムーズに進めばよいというものでもないと考えます。子どもはそれぞれ。甘えん坊さんだっています。ママから独り立ちしていく準備をし、練習をしていると考えると、苦労する時期があっても当然のことです。
 離乳食の時期が来ても赤ちゃんの消化吸収の力は未熟です。食べ物を口に入れて胃から腸に運ぶ動き、「ぜん動」は大人の半分ほどのレベルだそうです。そのため、消化吸収しやすい炭水化物からスタートし、赤ちゃんが飲み込みやすいようトロトロにします。また未熟な小腸では消化しにくいタンパク質は、ゆっくりと順番も慎重に進めます。また塩分も未熟な腎臓には負担になるので、できるだけ薄味にします。
 離乳食は、食べてくれない、周りの子より遅れているなど気にしてしまいがちですが、大切なのはスピードではなく、その子の心身の成長ペースに合っているのかどうか、負担になっていないかどうかです。毎食の様子に左右されず、1~2年後にしっかり自分で食事ができていればそれで十分なのです。少し時間がかかってしまっても、食べるのを嫌がる時期があっても、自立に向けて戦っているんだ、と思うとそれもまたいとおしく思えますよね。

願いを込める行事食

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 日本には季節ごとに行われる行事があり、その行事に合わせて作る料理、行事食があります。行事食は料理に願いが込められ、また地域の特性も表れており、興味深いことがたくさんあります。
 ひな祭りのひし餅、この3色には白は「雪解け」、緑は「芽吹き」、桃色は「開花」を表しているといわれています。また、端午の節句で子どもの無病息災も願って食べるかしわ餅。カシワは新しい芽が出るまで古い葉が落ちないことから、「跡継ぎが絶えない」という意味が込められています。また、冬至には、カボチャを食べると長生きするという言い伝えがあります。これは野菜の少ない冬に、ベータカロテンやその他のビタミンが豊富なカボチャを食べて寒い冬を乗り切るという栄養学的にも納得のいく言い伝えです。
 その他にもたくさんの行事食がありますが、日本の行事食といえばおせちです。お正月に食べるおせち料理には、一つ一つに由来があります。例えば数の子はニシンの卵巣ですが、卵巣には数万の卵があることから子孫繁栄を願っています。また黒豆は「まめで健康」を意味し、黒は厄よけの色とされていたことから、無病息災を願っています。また田作りはカタクチイワシの稚魚ですが、昔、稲を植えるときに小イワシを細かく刻み肥料にしたことから稲の豊作を願ったものです。
 このように行事食は受け継がれていく中で定着してきました。今年も残り少なくなり、間もなくお正月。最近では元日からお店が開き、おせちがなくてもお正月を過ごせるようになりました。また、洋風なメニューなど、新しいスタイルのおせちも多く見掛けるようになりました。しかし、長く受け継がれてきたものを私たちの世代が終わらせてしまうのはとても寂しいことです。今年のおせちは昔ながらの献立で、家族みんなで願いを確認しながら食べてみるのはいかがでしょうか。


ページ上部へ