私の食育日記

冷凍保存を上手に活用

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 まとめ買いや、食材を使い切るために多く利用されるのが冷凍保存です。食べるのは少量でありながら、いろいろな物を食べてほしい離乳食にとっても、冷凍保存は強い味方です。冷凍保存は、味や栄養を保持しやすい保存方法です。しかしながら、冷凍中まったく劣化をしないわけではありません。特に、市販の冷凍食品のように食品に合わせてマイナス30度ほどで急速冷凍している場合と違い、庫内の温度がマイナス18度からマイナス20度の家庭用冷蔵庫での冷凍は、時間のかかる緩慢凍結しかできないため凍結方法の工夫が必要です。
 冷凍によって劣化しにくいのは、糖質、タンパク質、ミネラルです。糖質であるでんぷんを多く含む白飯は、マイナス20度以下では老化は少ないことが分かっています。白飯やパンなどに含まれるでんぷんは0度から5度付近が最も老化しやすいので、冷蔵庫やチルド室では老化を促進してしまいます。保存する場合は必ず冷凍庫を選びましょう。
 冷凍によって変化しやすいのは脂質とビタミンです。冷凍中、脂質は酸化してしまうことが多く、酸化しやすい食品には多価不飽和脂肪酸を含む魚類などが挙げられます。またビタミンの中でもビタミンCは、マイナス18度以上だと保存中の減少が早いことが分かっています。冷凍保存する場合も長期保存し過ぎないよう注意が必要です。
 家庭での冷凍での注意点は、まず、家庭での冷凍に適する食品を選ぶこと。パンやご飯などのでんぷん性の物や、煮豆など味が濃厚で水分の少ない物、スープ、ソース類などが挙げられます。魚や肉は加熱調理してから、野菜はブランチング(加熱処理)してから凍結した方が良いでしょう。凍結するときは、1回の使用量ごとに分けて薄い形に成形し、密閉容器に入れましょう。凍結方法を工夫し長期保存には注意しながら、上手に活用していきたいです。

「まごはやさしい」で栄養バランスを整える

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 一汁三菜が基本の日本食は、タンパク質、炭水化物、脂質のバランスが良い理想的な食事スタイルといえます。この一汁三菜は安土桃山時代に千利休が確立した茶懐石の献立が元となっているともいわれ、長く愛されてきた日本人の食文化です。しかし、最近では食の欧米化が進み、日本人の栄養バランスも崩れてきているといわれています。だからこそあらためて見直してほしい一汁三菜、そしてもう一つ意識してほしいのは「まごはやさしい」です。
 「まごはやさしい」とは、意識的に取り入れたい食材の頭文字を取ったものです。「ま」は豆類。豆類は食物繊維が多く特に大豆は良質なタンパク質源です。「ご」はゴマ。ゴマはミネラルを豊富に含み、必須アミノ酸もバランス良く含まれ、不眠予防にも効果があるといわれています。ぜひすりごまとして取り入れてほしいです。「は」はワカメです。ミネラルを豊富に含み、表面のぬるぬるした成分であるアルギン酸は、体内の余分なナトリウム、コレステロールを排出する作用があるといわれています。「や」は野菜。緑黄色野菜や根菜類などいろいろな種類を食べるよう意識したいです。「さ」は魚。脳を活性化するDHAやEPAが多いイワシやサバ、マグロなどの他、カルシウムが豊富な小魚もお薦めです。「し」はシイタケ(きのこ類)。きのこ類はビタミン、食物繊維が豊富です。「い」は芋類。でんぷん、食物繊維、ビタミン、ミネラルが含まれており、芋の種類によっても異なるので、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモなどバランス良く食べたいです。
 これらはどれも日本らしい食材です。日本食の基本、一汁三菜を「まごはやさしい」を意識した食材で調理すれば、とても栄養バランスの良い食事になります。献立を考えるときに、「まごはやさしい」を思い出していただけたらうれしいです。

離乳食はママからの自立の第一歩 

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 6カ月になる娘の離乳食がスタートしました。離乳食の始まりは、胸に響くものがあります。以前、助産師さんに、「出産はわが子の自立の始まりだよ。おなかの中でママとへその緒でつながれている赤ちゃんにとって、生まれてくるときがママから離れる第一歩。不安と戦いながら一生懸命生まれて、心も成長をするんだよ」とお話をしていただいたことがあります。離乳食も同じように感じます。私からの栄養だけで生きていたわが子が、食べ物から栄養を取り1人で生きていける準備を始める、まさにわが子の自立の一歩です。
 離乳食は食べる練習だけでなく心の成長でもある。そう思うと、ただスムーズに進めばよいというものでもないと考えます。子どもはそれぞれ。甘えん坊さんだっています。ママから独り立ちしていく準備をし、練習をしていると考えると、苦労する時期があっても当然のことです。
 離乳食の時期が来ても赤ちゃんの消化吸収の力は未熟です。食べ物を口に入れて胃から腸に運ぶ動き、「ぜん動」は大人の半分ほどのレベルだそうです。そのため、消化吸収しやすい炭水化物からスタートし、赤ちゃんが飲み込みやすいようトロトロにします。また未熟な小腸では消化しにくいタンパク質は、ゆっくりと順番も慎重に進めます。また塩分も未熟な腎臓には負担になるので、できるだけ薄味にします。
 離乳食は、食べてくれない、周りの子より遅れているなど気にしてしまいがちですが、大切なのはスピードではなく、その子の心身の成長ペースに合っているのかどうか、負担になっていないかどうかです。毎食の様子に左右されず、1~2年後にしっかり自分で食事ができていればそれで十分なのです。少し時間がかかってしまっても、食べるのを嫌がる時期があっても、自立に向けて戦っているんだ、と思うとそれもまたいとおしく思えますよね。

願いを込める行事食

食育インストラクター●岡村麻純/JA広報通信より


 日本には季節ごとに行われる行事があり、その行事に合わせて作る料理、行事食があります。行事食は料理に願いが込められ、また地域の特性も表れており、興味深いことがたくさんあります。
 ひな祭りのひし餅、この3色には白は「雪解け」、緑は「芽吹き」、桃色は「開花」を表しているといわれています。また、端午の節句で子どもの無病息災も願って食べるかしわ餅。カシワは新しい芽が出るまで古い葉が落ちないことから、「跡継ぎが絶えない」という意味が込められています。また、冬至には、カボチャを食べると長生きするという言い伝えがあります。これは野菜の少ない冬に、ベータカロテンやその他のビタミンが豊富なカボチャを食べて寒い冬を乗り切るという栄養学的にも納得のいく言い伝えです。
 その他にもたくさんの行事食がありますが、日本の行事食といえばおせちです。お正月に食べるおせち料理には、一つ一つに由来があります。例えば数の子はニシンの卵巣ですが、卵巣には数万の卵があることから子孫繁栄を願っています。また黒豆は「まめで健康」を意味し、黒は厄よけの色とされていたことから、無病息災を願っています。また田作りはカタクチイワシの稚魚ですが、昔、稲を植えるときに小イワシを細かく刻み肥料にしたことから稲の豊作を願ったものです。
 このように行事食は受け継がれていく中で定着してきました。今年も残り少なくなり、間もなくお正月。最近では元日からお店が開き、おせちがなくてもお正月を過ごせるようになりました。また、洋風なメニューなど、新しいスタイルのおせちも多く見掛けるようになりました。しかし、長く受け継がれてきたものを私たちの世代が終わらせてしまうのはとても寂しいことです。今年のおせちは昔ながらの献立で、家族みんなで願いを確認しながら食べてみるのはいかがでしょうか。

食品ロス

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 先日、オーストラリアのシドニーに全てが無料のスーパーがオープンしたというニュースがありました。このスーパーに並ぶのは、大手スーパーなどで賞味期限切れ直前のため廃棄される予定だった商品です。これはまだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスを減らすための取り組みでもあります。
 日本も食品ロスのとても多い国です。日本の食品の供給量と摂取量は、2014年の調べでは、1日1人当たり約500kcal分供給量が多くなっています。つまり日本人全員の1食分ほどに当たる食品を1日で廃棄してしまっているのです。世界には食べ物が足りずに苦しんでいる人がたくさんいる中で、これだけの食べ物を無駄にしていると思うと心が痛みます。
 この食品廃棄はお店など主に家庭以外から出ているように思われますが、実は日本の食品廃棄の55%が家庭から出ているとされています。その主な原因は「食べ切れない」「賞味期限が切れた」「使い切れずに腐らせてしまった」などが挙げられます。この原因を見ていくと、食品の廃棄を減らすには、計画的な献立作り、そして買い物が重要になってくることが分かります。家庭での食品の廃棄を減らす工夫を学ぶことも大切な食育です。小さいうちから一緒に買い物に行き、買った物を無駄なく食べ尽くす練習も親子で楽しみながらできればと思います。
 離乳食から始まって子どもの食事をあれこれ悩みながら作っていると、気が付くと、この料理なら食べてくれるから、これは嫌いだから子どもには別の物を買うなど、食事を子どもに食べてもらっているという感覚になってしまうことがあります。しかしながら、子どもに学んでほしいのは、十分に食べることができるありがたさです。その食への感謝の気持ちが、将来の食品ロスを減らすことへとつながっていくと信じています。

食卓から始まる食料自給率の向上

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 わが国の食料自給率は約40%です。食料自給率とは、日本で食べられている食べ物(カロリー計算)のうち、どのくらいの割合を国産で賄っているかを示した数値です。40%ということは、私たちの生きるエネルギーの半分以上を海外に頼っています。他国では、フランスが129%、英国が72%、日本同様平野部の少ないスイスでさえ57%と、半分以上は自国で賄っています。
 食料自給率が低いということは、地球全体の気象の変化や、世界情勢によって、私たちの食卓が影響を受けやすいということです。何らかの原因で輸入が今のようにできなくなれば、日本は一気に食料不足になってしまうのです。また、食料自給率が上がるということは、日本の農業がより元気になっていくことにもつながります。
 ではなぜここまで食料自給率が下がってしまったのか。日本も1965年ころまで食料自給率は70%以上でした。その後、下がり続けた原因に、食生活の変化が挙げられます。お米が中心だった食事から、パンや麺類を主食にすることが増えました。その原料となる小麦粉はほとんどを輸入に頼っています。
 お米を食べる量が減り、その分お肉や油物のおかずが増えたことも原因に挙げられます。つまり食料自給率の低下は私たちの食卓から始まっているのです。ならば食料自給率の向上も私たちの食卓から始めなければなりません。
 そこで大切なのが幼少期の食事です。おふくろの味という言葉があるように、私たちは小さい頃に食べた味はいくつになってもおいしく、安心感を得ることができます。なので、幼児期にだしの香り、みそ汁にお魚などお米中心の和食になじむことで大人になってからも和食を好むようになっていきます。子どもたちが大人になった頃も食卓には和食中心のメニューが並び、食料自給率も向上していることを願います。

かむことの大切さ

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 子どもがいると「よくかんで食べてね」という言葉を口にしたことがあるかと思います。最近は軟らかい食べ物が好まれ、かむ回数もどんどん減っているそうです。現代人が1回の食事でかむ回数は平均約620回、これは戦前の人々に比べると約半分に減っているそうです。しかし、かむことは体に良いことがたくさんあります。
 乳幼児期によくかんで食べることは、顎や体が丈夫になるだけでなく、脳の発達も促します。咀嚼(そしゃく)運動は脳を刺激して、脳細胞の代謝を活発にして脳の血液循環を良くします。つまりよくかむことで、幼児期に必要な栄養素をより多く脳に送ることができるのです。脳神経系などから発達する子どもの発育には、かむことはとても重要です。
 もう一つ、よくかむことで唾液の分泌が良くなります。唾液は消化を助ける役割がある他、発がん性物質の働きを弱める効果があるともいわれています。さらに、唾液の分泌によって味がよく分かるようになります。私たちの舌の表面にある味蕾(みらい)は、唾液で湿ることで味覚を敏感に感じることができます。薄味を食べてほしい幼児期こそ、よくかんで唾液の分泌を促すことで薄味でも満たされることができるのです。
 よくかむといっても、子どもの歯は大人より弱く、かむことにも時間がかかります。そんな中で周りの大人がそそくさと食べてしまっては、子どももできるだけ早く食べようと、かむことを減らす習慣が付いてしまいます。まずは、周りの大人が意識的にゆっくりと食べ、よくかむことで、子どもも安心して大人と同じようによくかむようになります。大人にとっても咀嚼は脳を活性化し、老化やぼけ防止につながります。子どものかむ回数が気になったら、まずは家族みんなで意識的にゆっくり食べてみると良いかもしれません。子どもが飽きないように楽しい会話も忘れずに。

メープルシロップ

タレント・食生活アドバイザー●岡村麻純/JA広報通信より


 わが家では調味料の一つにメープルシロップを活用しています。メープルシロップとはカエデの樹液を煮詰めて作られる物で、まさに天然の甘味料です。天然といっても甘味は強いので、大人のようにパンケーキにたっぷり掛けて食べるのは子どもには甘過ぎますが、砂糖のように料理の甘味付けとしては栄養価も高くお薦めです。
 できるだけ素材そのものの味を味わってほしいので薄味が良いと思いますが、幼児食の頃からはいろいろな本物の味を体験し、味のバラエティーを増やしていくことも大切です。そこで、甘味を付けるときも、砂糖だけでなく、蜂蜜やメープルシロップを使っています。メープルシロップは、蜂蜜のように1歳以降でないと食べられない理由とされる菌もなく、アレルギーも起こしにくいので、砂糖の代わりに使うにはとっても便利です。また、メープルシロップは砂糖や蜂蜜に比べてカロリーは低く、ミネラルが多く含まれています。特に不足しがちなカルシウムや体内のバランスを調整するカリウムが多く含まれています。
 そんなメープルシロップも甘い甘味料、使い過ぎには注意が必要です。子どもは甘い物が大好きです。ですが、甘い物ばかり食べていると甘い物が癖になり、本来の野菜の甘味やその他の味が感じにくくなったり、甘くないと食べなくなったりしてしまう可能性があります。あくまで調味料として味付けのアクセントに使う程度が良いと思います。煮物やあえ物にほんの少しメープルシロップを加えるとこくがある甘さになり、子どもも大好きです。
 幼児期の食事には、栄養を取るということの他に、味覚を鍛えるという役割もあります。
 同じ甘さでも、いろいろな甘さを食べることで味覚の幅は広がっていきます。好きだからと同じ味ばかりに頼らず、ぜひいろいろな味を体験してみてほしいと思います。


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